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平凡な4ドアセダンだったはずの「プリメーラ」が後世に語り継がれる名車になったワケ

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了/日産自動車/Auto Messe Web編集部

  • プリメーラはツーリングカーレースシーンでも大活躍した

  • この時代の日産の技術が結集したR32型スカイラインGT-R
  • プリメーラはツーリングカーレースシーンでも大活躍した
  • 初代P10型プリメーラの1995年製Tm-Sセレクション
  • 初代P10型プリメーラの1995年製Tm-Sセレクション
  • 1995年に2代目P11型にモデルチェンジ、写真は欧州仕様
  • 2001年からの3代目P12型プリメーラ

R32 GT-RやZ32フェアレディZと同時代の日産の傑作車

 とびっきりなパフォーマンスを備えていたわけでもなければ、完璧なスーパースポーツカーを目指したのでもない。また社会現象となった高級リムジンとも違っている。本当に平凡な4ドア・セダンだったのですが、クルマファンから高い評価を得ていた日産車が初代「プリメーラ」です。その実態を振り返ってみると、平凡なというよりも「真っ当な」4ドアセダンということになります。今回は、そんなプリメーラを振り返ります。

日産の「901運動」から誕生した初代プリメーラ

 プリメーラが誕生した裏にあるのが日産の「901運動」でした。これは日産が「1990年代までに技術の世界一を目指す」とした中期的技術目標のことで、90年代までに、つまりは実質80年代に開発される全車種を対象にシャシーやエンジン、サスペンション、ハンドリング、さらにはデザインや品質までさまざまな技術開発を続け、その開発した新技術を新車開発のなかに組み込んでいこうというものでした。

 そしてその成果として誕生したモデルが、R32型「スカイラインGT-R」やZ32型「フェアレディZ」です。さらには初代「シーマ」(FPY31型)や初代の「インフィニティ・Q45」(G50型)といった高級リムジンから、8代目(U12型)から9代目(U13型)にかけての「ブルーバード」や初代「セフィーロ」(A31型)、3代目「マキシマ」(J30型)といったミディアムセダンにも投入。

 そして6代目(B12型)から7代目(B13型)にかけての「サニー」や、3代目(N13型)から4代目(N14型)にかけての「パルサー」、初代「マーチ」(K11型)などのコンパクトカー、さらに5代目「シルビア」(S13型)などのミディアムスポーツーカーまで、まさにありとあらゆるカテゴリーで、日産の力作が投入されることになりました。そしてこのなかでも多くのファンを呼び起こし、後世まで語り継がれる1台となったたモデルがプリメーラでした。

写真右上から時計回りに、ブルーバード、サニー、セフィーロ、パルサー

901運動は「アテーサ」「ハイキャス」「RB型エンジン」など先進技術を輩出

「901運動」についてもう少し紹介しておきましょう。これが提唱された背景としては、80年代に日産自動車の販売シェアが20%を切るところまで落ち込んだことがありました。危機感を持った日産の内部では、新たな技術を開発していくことを掲げてこの「901運動」を始めることになったようです。

 こうして開発され、磨かれたさまざまな新技術を盛り込み登場したニューモデル(そのなかでも主要なモデル)は先に示した通り。個別な技術アイテムとしては「ATTESA(アテーサ。Advanced Total Traction Engineering System for Allの頭文字を繋げて命名。4輪駆動力最適制御の意)」と命名されたフルタイム4輪駆動システムや、「HICAS(ハイキャス。High Capacity Actively Controlled Suspensionから命名)」と呼ばれる電子制御4輪操舵システムなどのハンドリング技術。

 そして、マルチリンク式サスペンションや油圧のアクティブサスペンションなどのサスペンション技術、さらには1.6Lから2Lまでをカバーする直4の「SR型」や、2Lから3Lまでをカバーする直6の「RB型」などの新世代エンジンなどが含まれていました。

 ちなみに、RB型の最上級と位置付けられたのが、R32型スカイラインGT-Rに専用開発された「RB26DETT」ユニットですが、同車には「ATTESA E-TS」(後輪駆動用のATTESA)や「Super HICAS」など、エンジン以外でも最高レベルの技術が数多く盛り込まれていました。というところで、「901運動」から誕生したモデル、数多くの傑作モデルのなかの1台で、今回の主人公であるプリメーラに話題を戻しましょう。

この時代の日産の技術が結集したR32型スカイラインGT-R

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