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これでクルマのリヤシートってウソだろ? 内装にこだわりすぎた「マツダ・ペルソナ」という衝撃作

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

助手席に乗る女性への思いやりも込められていた

 もちろんデザインのみならず、クオリティも気を配っていた。カタログの文面から拾うと“ファブリックに対する素材感やカラーリングにおいても、微妙なニュアンスを大切にして、質の高いしっとりとした手触りの本革と繊細なタッチの高級カットニットを選択しました”とある。

 また縫い目のテイストを強調するために手縫い作業の工程を採用し、この方法はシートだけでなくインパネ、ドアトリムにも多用。さらにユニークなのはBピラーをドアトリムで隠し、フロントドアとリヤドアの繋ぎ目のみで連続感を持たせていたり、リヤピラーも天井と同一の布地で包み込むなどし、心地よさへの配慮も行き届く。視界の妨げにならないようリヤドアに前席用シートベルトを内蔵させる方式も開発し、採用していた。マツダ・ペルソナのカタログ

 それと助手席に座った女性がゆったりと足を組めるように(!)グローブボックスが廃止されていたり、マニュキュアを塗った細く長い爪を傷付けないようにスイッチが設計されていたりと、クルマながらそのフェミニストぶりは敬服させられるほど。さらにもうひとつ、灰皿をなくし小物入れとしたのも、確かこのペルソナが最初だったと記憶している。マツダ・ペルソナのカタログ

 最初のカタログではタイプAとタイプBの2グレードで、本革内装が標準だったのがタイプBのほうだった。またタイプA、タイプBともに内装色はグレーかベーシュで、いずれも落ち着きのある色調が選ばれている。本革シートのタイプBのリヤシート背もたれにだけ若干ギャザーをつけてアクセントにしていたが、無粋な柄などを使わない、しっとりとした雰囲気に仕上げられていた。マツダ・ペルソナのカタログ

 一方で外観では、イメージカラーのアコースティックゴールドMCを中心に全5色の設定(ユーノス300はペルソナにはないダークブルーがイメージ色だった)。このゴールドともう1色、シルエットシルバーMCにはメーカーオプションでルーフサイド(ピラー部分)が微妙な同系色で切り返す2トーンも用意されていた。現代風にいうなら何から何までハンパないこだわりようのクルマだった。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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