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「隼人ピーターソン」の愛車で話題に! 世界一美しいクーペの呼び声高い「BMW 3.0CSL」とは

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了/BMW

世界一美しい2ドアクーペ

 E9のトップを切って1968年に登場したモデルは2800CSでした。搭載されていたエンジンは、E3リムジーネの2800に搭載されていたのと同じ2788ccの直6シングルカム(最高出力は170hp)。ノイエクラッセの2ドアクーペ版である2000Cやその高性能版の2000CSの後継モデルという位置づけでもあり、ボディ/シャシーの基本デザインは共通です。直4エンジンに換えて直6エンジンを搭載するため、オーバーハングは少し延ばされていました。BMW2800CS

 またノイエクラッセのデザインは、ジョバンニ・ミケロッティが手掛けていたのに対して、こちらはベルトーネのチーフデザイナー、マルチェロ・ガンディーニがデザインを担当していたことも大きな特徴のひとつでした。

 3年後にはエンジンを2985ccにまで拡大した3.0CSが登場しています。2800CSと同じくツインキャブ仕様で最高出力は180hpでしたが、その5カ月後に登場したCSiではキャプレターに換え、ボッシュ製のDジェトロニック(電子制御式燃料噴射装置)が組み込まれて最高出力は210hpと大台を突破していました。マニュアル式の5速ミッションも用意され、最高速も220km/hに引き上げられていました。BMW3.0CS

 2002でヨーロッパ・ツーリングカー選手権(ETC)などツーリングカーレースを戦っていたBMW。当然、このクーペモデルでもレース参戦が考えられていましたが、そのための秘密兵器が1971年に登場した軽量モデル、3.0CSLでした。ちなみにLはLeichet(独語で軽量の意)を意味していました。CSLのエンブレム

 3.0CSLはドアをアルミ製に、リヤウインドウをアクリル製に交換するなど軽量化を追求し、ノーマルの1400kgから1200kgまでシェイプアップされていました。さらに翌1972年に登場したエボリューションモデルでは、エンジンの排気量を3003cc(89,3mmφ×80.0mm)まで拡大。1971年モデルではツインキャブだったものをボッシュ製のDジェトロニックに交換していました。

 3003ccとしたところがミソで、グループ2のレギュレーションではピストンを交換して(ボアを拡大して)排気量を拡大することは認められていたものの、クラスを超えての排気量アップは認められていませんでした。

 ベースモデルの2985ccでは3Lクラスの上限まで、ほとんど排気量アップの余地はありませんでしたが、3003ccとしたことで3.5Lクラスの上限まで、ほぼ500ccほどの排気量アップが許されることになるのです。

 ちなみに1973年にはストロークを4.0mm延ばして排気量を3153ccにまで引き上げていましたから、さらにチューニングの余地が拡がることになりました。またレース仕様の3.0CSLは大袈裟なエアロパーツも特徴のひとつ。とくに前後のブリスタータイプのオーバーフェンダーは、迫力も十分でした。

 もっとも、その後登場するグループ5仕様の3.5CSL/3.2CSLターボに比べると、まだまだ控え目ではありました。そう、レースはまさに留まることが許されない世界なんですね。いずれにしてもBMWの3.0CSLが、世界で一番美しい2ドアクーペの呼び声高いクルマだったことは間違いありません。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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