国産ミニバンに負けない積載性を手に入れた「デカングー」
一方で、2009年になり日本市場にも登場したのが2代目カングー。気になる全幅はなんと1830mmへと一気に拡大。当初、初代カングーを愛するオーナー、ファンから「えーっ!?」の声が上がったのは事実だった。合理的な理由としては「室内スペースの拡大」があり、欧州で荷物を運ぶ際に使う幅1mの「ユーロパレット」が載せられるようにしたためにボディサイズの拡大が実行された。搭載エンジンは当初は1.6Lで、これにマニュアルモード付き4速ATのほか5速MTも用意。アクセサリーには、ロゴ入りの専用化粧パネルに収まる2DINサイズのカーナビなども用意された。
さらに2010年の夏には、限定車の「BE BOP(ビボップ)」が登場。このモデルは標準ボディに対してホイールベースが390mmも短い2310mmとした2ドアのショートボディ版で、「リヤグラスルーフ」と呼ぶ、ルーフ後半を持ち上げて前方にスライドさせて開けるユニークな装備を備えていたほか、バックドアは左ヒンジの横開きを採用していた。限定車につき希少で、筆者も導入時に横浜・みなとみらい地区で、今も広報部におられるSさんが、ガソリンスタンドからお戻りのようなご様子でルージュ色のデモカーをドライブするのを歩道を歩きながら偶然一度見かけたきりだが、ルノー版日産キューブといった縦横比が独特だった。
モダンな「アッカー顔」も癒しキャラになるカングーの魔力
そしてサッパリ顔で登場した2代目は、2013年になると、ルーテシアなどと同じようなロゴの左右をグリル(ガーニッシュ?)風に真一文字にしたデザインにデザイン変更される。初代のときと同様に、最初は「どうなの?」と思えたが、次第に気にならなくなるのは、人間の感覚とはそういうものだからだ。この2代目ではエンジンに1.2Lターボが搭載されたり、6速MTのほか、2ペダルのEDCも日本市場向けに用意された。そのほかにも、専用のボディ色をまとうなどした限定車も多数リリース。乗る人はもちろん、街なかで見かけた人の気持ちもホッコリさせてくれる癒し系キャラのクルマ、である。