セラミックツインターボ
グループAのレギュレーションでは、ターボチャージャーの個数やサイズの変更は許されていなかった。そこでRB26では600psを狙いつつ、ストリートでも扱いやすいツインターボをチョイス。ひとつのタービンで300psの容量を与え、それをツインで装着した。
しかも低回転からブーストの立ち上がりのいい日産お得意のセラミックタービンを採用。レース用としてはメタルタービン(ニスモタービン)が用意されたが、そのメタルタービンのグループA仕様でも、パワーバンドが4000~8000rpmまであったのは特筆できる。
大型前置きインタークーラー
グループAではバンパーの形状もインタークーラーも、量産車からイジることができなかったので、RB26には大型のインタークーラーが用意された。それまでのインタークーラーはオイルクーラーに毛が生えたようなコンパクトなものしかなかったが、発熱量も多くターボの仕事量が多いRB26のインタークーラーは他車に先駆け、前置きの大型インタークーラーを採用。これもエポックメイキングなことだった。
その他
バルブ自体の温度を低下させ、ノッキングを押さえるためにナトリウム封入エキゾーストバルブを採用。バルブの挟み角が46度と日産では最小の直動式ヘッドで、シムもHLAよりも軽くなるインナーシムタイプを導入している。
エキマニもステンレス鋳鋼で、ピストンは純正品でもクーリングチャンネル付き(ピストンはグループAでも変更可能だったので、レースでは鍛造ピストンに)。
また直6エンジンなのに、O2センサーも前3気筒、後ろ3気筒では別々のツインO2センサーで、ノックセンサーも2箇所。点火系では電機ロスが少ないダイレクトイグニッションを採用し、燃料ポンプも195リッターと大容量で、何もかもがスペシャルだった。
量産車としても、ライバル(?)ポルシェ911ターボの3.3Lターボが、288ps・38.9kgmだった時代に、RB26DETTは2.6リッターターボで、280ps、36.0 kgmと引けをとらないスペック。ニュルではポルシェ911ターボの量産車最速のタイムを破っている。
燃費が悪いのだけは玉にキズだが、ガソリンエンジンの走行が許される限り、オーナーもチューナーも、「RB26だけは特別」と思い、大事に乗り続けるに違いない。