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F1を意識したデザインが斬新! 日本人デザイナーが手がけた「エンツォ・フェラーリ」の魅力

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了/Ferrari

F1マシンを意識したフロントビューやバタフライドアの採用が特徴

 さて、フェラーリ・スペチアーレの華麗なる時代絵巻を振り返ったところで、いよいよ今回の主人公、エンツォ・フェラーリへと話を進めていきましょう。

 フェラーリの創業55周年となる2002年に発表されたエンツォ・フェラーリは、日本人デザイナーの奥山清行さん(海外での活動名義はKen OKUYAMA)が、ピニンファリーナのデザインディレクターを務めていた当時にデザインを手掛けたことで知られています。エンツォ・フェラーリ

 ハイノーズとアンヘドラル(下反角)ウイングを組み合わせたようなフロント部分は、間違いなくF1GPマシンを意識したものでした。そしてフェラーリの伝統ともなっている、丸型4灯式のテールライトを突出させたリヤデザインも、ほかのフェラーリとも一線を画す特徴的なものでした。またフェラーリとしては珍しく、バタフライドアを採用しているのも大きな特徴のひとつとなっています。エンツォ・フェラーリ

 ダラーラに製造を委託した、カーボンコンポジット製のモノコックを採用しているのはF50と同様。このモノコックに組付けられたサスペンションは、前後ともにコイルスプリングで吊ったダブルウィッシュボーン式で、ショックアブソーバーは電子制御式が奢られていました。エンツォ・フェラーリ

 搭載されるエンジンは65度V12の自然吸気6L。最高出力は660psにも及んでいました。排気量こそ違いますが、自然吸気のV12エンジンを搭載することではF50もエンツォ・フェラーリも同様だったものの、エンジンの搭載方法が一新されていました。エンツォ・フェラーリ

 F50ではエンジンをモノコックのバスタブにストレスマウントしていたのに対して、このエンツォ・フェラーリではモノコックの後部にサブフレームを組付け、さらにそのサブフレームにゴムのマウントを介してエンジンを取り付けていたのです。エンツォ・フェラーリ

 これはもちろん、F50で不満の多かった振動&騒音対策の一環だったのでしょう。そう言えばエンツォ・フェラーリにはエアコンも装備されていましたから、F50に比べると随分快適なドライブが楽しめるようになっていたと思います。ちなみに、生産台数は399台でした。エンツォ・フェラーリ

 暑ければジャケットを脱いで、とストイックなドライビングを楽しむのもスポーツカーの醍醐味ですが、年齢を重ねてくるとそうも言ってられません。そんな大人で、銀行口座の残高があるなら、お奨めの1台だったと言っていいのでしょうか。いずれにしても、フリーライターにはアナザーワールドでしかないのですが……。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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