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どこで道を間違えたのか? 時代を作ったホンダ・オデッセイが消滅に至るまでの歴史

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TEXT: 青山尚暉(AOYAMA Naoki)  PHOTO: 青山尚暉/本田技研工業/Auto Messe Web編集部

スタイリッシュなシャコタンスタイルで登場
「3代目オデッセイ」

 2003年10月には3代目となったオデッセイは新たな進化を遂げる。そう、2代目までのプラットフォームと決別し、新開発の低床プラットフォームを採用した。そのおかげでFFなら立体駐車場への入庫が可能な全高1550mmの低全高パッケージを実現。だが、ホンダは立体駐車場に入る全高を目的としたワケではなく、本当の狙いはスポーティなエクステリアデザインの実現と、なんと言っても低重心による走りの進化であった。3代目オデッセイアブソルートのフロントスタイル

 とはいえ、当時この思い切ったコンセプトは、筆者のようにミニバンは背が高く見晴らせる視界で、室内高にも余裕があってほしい……と思い描くユーザーこそ”引いた”ものの、一方で、スポーティな走りを期待するミニバンユーザーには大ウケ。とくにアブソルートの走りの良さ、運動性能はミニバンの皮を被ったスポーティカーと称されたほどである。下の写真は3代目オデッセイの自動車専門誌向け試乗会でのひとコマで、左が筆者の2代目アブソルートV6、右が背の低い箱から出てきた……という演出の3代目オデッセイだ。

2代目オデッセイと3代目オデッセイの比較

 3代目オデッセイのパワーユニットはアコードと共通のK24A型2.4Lのみとなり、しかし標準車の160psとアブソルート用の200psのふたつの仕様をラインアップし、2グレードの差別化がしっかりと図られた。また、ボディサイズは全長4765mm×全幅1800mm×全高1550mmであり、販売台数は25万台超であった。デビューからすでに20年近く経ったモデルでありながら、今でも街なかで見かける機会が多く3代目オデッセイのファンの多さを物語る。3代目オデッセイに搭載のK24A型2.4LDOHCエンジン

ボックス型ミニバンに押され販売は伸び悩んだ
「4代目オデッセイ」

 2008年10月には4代目に進化した。このオデッセイもまた、3代目同様の低全高パッケージでヒンジドアを採用。とはいえ内外装の質感は劇的に向上し、車両の安定性を高めるモーションアダプティブESPやマルチビューカメラなどを新搭載。エコモードボタンとなるECONボタンがオデッセイに採用されたのも、この4代目からだ。4代目オデッセイのフロントスタイル

 低全高パッケージゆえ室内高は先代同様の1200mmながら、室内長の拡大によって3列目席足元空間の余裕が増し、低全高ミニバンでありながらホンダらしいさらなる走りの良さ、そして切れ味とミニバンらしい居住性を両立。ただしアブソルートの2.4Lエンジンは、いきなりハイオクガソリン指定になってしまった。4代目オデッセイのインテリア

 それはともかく、このころにはトヨタから2代目ノア&ヴォクシーや2代目アルファードなどのボックス型×両側スライドドアミニバンが勢いを増し、オデッセイのような低全高×リヤヒンジ式ドアのミニバン人気は一気に下降してしまったのも事実。販売台数的には3代目の1/3にも満たない7万台ちょっととなり、次なる一手が必要となったのだ。

スライドドアを採用するも歴史に幕を閉じる
「5代目オデッセイ」

 そのホンダの回答が、2013年10月にデビューした5代目オデッセイだ。最大の進化点はオデッセイ初の両側スライドドアを採用したこと。そのためボディサイズは全長4855mm×全幅1800〜1820mm×全高1695〜1925mm(仕様によって異なる)と、やっとミニバンらしい!? 全高を手に入れたことになる。5代目オデッセイアブソルートの後期型モデル

 室内高も1300mmを実現し、ほかにも3列目席を例によって床下へすっきりフラットに格納すれば大容量ワゴンとしても使うことができる。2列目席のプレミアムクレードルシート(キャプテンシート)のかけ心地、最大170度のフルリクライニング時の寝心地の良さは、間違いなくライバルを圧倒していたのである。

プレミアムクレードルシート

 だが、人気グレードのアブソルートはレギュラーガソリン化されたとはいえ、あまりにも走りを追求しすぎたためか、初期型のとくに2&3列目席の乗り心地が硬すぎた。アブソルートに限って言えば、ファミリーユースには乗り心地面で厳しい硬派すぎるミニバンとなってしまったのだった。

 とはいえ、5代目最後期型に乗ってみると、内外装の高級感の向上はもちろん、G-design Shift(CVT)、ZFザックス製振幅感応型ダンパー、液封コンプライアンスブッシュといった走りに関わる贅沢なアイテムがふんだんに採用され、先進運転支援機能=ホンダセンシングも充実。乗り心地にしてもずいぶん洗練され、後席でも大きな不満はなくなっている。そう、走って使ってみれば分かるホンダらしさ全開のスポーティミニバンに仕上がっていた。

5代目RC型オデッセイ後期モデルの走り

 そんな日本のミニバン文化をけん引してきたオデッセイは、ご存じの通り多くのオデッセイを愛したファンから惜しまれつつ、ついに2021年12月生産を終えた。ただこの記事を書いている2022年4月中旬時点で、ホンダのHPにはラインアップに掲載されており、「一部のタイプ・カラーはお選びいただけない場合がございます。詳細は販売店にお問い合わせください」とある。5代目後期型オデッセイの出荷状況

 逆に言えば、半導体問題もあって、例えば新型ステップワゴンの納期が4~5カ月、ヴェゼルに至っては3カ月〜6カ月以上となっているなか、オデッセイで好みのグレードの生産済み在庫があれば、ずっと早く最終型で完熟のオデッセイが手に入るとも言えるかもしれない。なかでもガソリンアブソルートのような尖ったスポーティミニバンは、クルマの電動化が進むこれから先、出てくることはないはず。スポーティカー×両側スライドドアミニバンという、類まれな多人数乗用車の最後の1台になってしまうということでもある。気になる人は急いでディーラーへ駆け込んでほしい!

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  • プレミアムクレードルシート
  • 2代目オデッセイアブソルートの17インチタイヤ&ホイール
  • 5代目オデッセイアブソルートの後期型モデル
  • 2.2L SOHC16バルブエンジン
  • 初代オデッセイのフロントスタイル
  • 初代オデッセイのリヤスタイル
  • 初代オデッセイの2列目ベンチシート
  • 3代目オデッセイに搭載のK24A型2.4LDOHCエンジン
  • 3代目オデッセイアブソルートのフロントスタイル
  • 4代目オデッセイフロントスタイル
  • 4代目オデッセイのインテリア
  • 5代目RC型オデッセイ後期モデルの走り
  • 2代目オデッセイアブソルート
  • 2代目オデッセイと3代目オデッセイの比較
  • 5代目オデッセイの後期型モデル
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