「クリーン系」と「パワーアップ系」を使い分けよう
ガソリン添加剤と言えば「水抜き剤」がおなじみだが、近年はそれだけではなく、エンジンをクリーンにするもの、エンジンパワーをアップさせるものなど、さまざまな種類がある。それらはどんな効果効能があり、どう使えばいいのか、解説していこう。
昔よくあった「水抜き剤」は最近のクルマには意味なし
ガソリンに入れる添加剤は、オイル添加剤と並んで昔からあるアイテムだ。定番は、昔はよくガソリンスタンドでオススメされていた「水抜き剤」。ガソリンタンク内部に溜まった空気中の水分を分解して一緒に燃料を燃やして排出することで、燃料タンクが錆びにくくなる、というもの。効果には賛否両論あるが、近年はガソリンタンクが樹脂製のクルマが増え、そもそもタンクが錆びる心配はない。
定期的に使うと効果の大きい「クリーン系」
そこで近年は「クリーン系」と「パワーアップ系」の燃料添加剤が増えている。
クリーン系はエンジン内部を綺麗にして、パフォーマンスを回復させるというもの。ポリエーテルアミン(PEA)がエンジン内部の燃焼室、吸気バルブ、インジェクターなどに固着したカーボンデポジットを除去し、エンジン本来の性能を発揮させるという。各社から発売されていて、1本2000円ほどで満タン1~2回分くらい使用できる。定期的な使用でクリーンなエンジン内部を保てるという触れこみで、たしかになんとなくパワーが回復した感じがしたり、定期的に使用しているクルマはエンジン内部が綺麗だという。
こちらはエンジンを綺麗にすることが目的で、その結果としてエンジンパフォーマンスを高める効果があるわけだが、直接的にノッキングを抑えたり、爆発力を増強するものではない。
サーキット走行で頼もしい「パワーアップ系」
パワーアップ系添加剤は、その名の通り、入れることでエンジンパワーを高めることが狙いのもの。ノッキング性能が高いので、着火しにくい(高負荷)状態でもノッキングしない→点火時期なども学習機能でリタードせずに進む→出力がアップする、という図式である。
こういった性能はこれまで、専用のガソリンが販売されていた。レースガソリンやドラッグガスと呼ばれ、サーキットを走る本気組やドラッグレースに参加する人が入れていた。現在も販売されているが、そもそもガソリン自体を運ばないといけないことが面倒。さらに価格が1リットル1000円以上と高価で、普通に使うには現実的ではなかった。
ところが、最近増えたパワーアップ系添加剤は、ガソリンタンクに入れるだけでオクタン価をアップさせるものが多い。サーキット走行前にノッキングによるダメージから守る保険と、パワーアップを兼ねてタンクに入れるだけでOKである。
デメリットは特になく安定して性能を発揮する
オイル添加剤に比べてガソリン添加剤は、入れる相手のガソリンが数種類に絞られるので安定した性能を出しやすい。それだけに有名パーツメーカーなどからも多くの種類が発売されている。サーキット走行時のパフォーマンスアップや保険として入れてもいいし、長距離ドライブ時にクリーン系のガソリン添加剤を入れるのも効果を発揮しやすい。春のドライブのお供にもピッタリだ。