サーキット走るならNAでも有効なアイテム
愛車のエンジンをトラブルから守り、走りを満喫するための冷却チューン。誰もが最初に思い浮かべるアイテムはラジエーター、次点としてオイルクーラーといったところだろう。
しかし昔から「オイルクーラーはターボ車だけ」と、NAには不要であるかのような印象を持つ人も多い。果たしてその俗説は正しいのか検証しつつ、オイルクーラーの役割や装着するメリット、またデメリットはあるのかも考えてみたい。
デメリットも少なからずあるがメリットが上まわる
まずはNAエンジンの車両にオイルクーラーは必要なのか。結論からいうとサーキット走行が前提なら、原則としてあったほうが安心なことは確かだ。NAに不要説の根拠は「ターボはハイパワーだから油温が高い」だと思われるが、高回転域を多用する傾向の強いNAも決してエンジンオイルに優しい環境ではない。
なお走るコースによっても油温の厳しさは変わる。上がりやすいのは直線が短く走行風による冷却が期待しにくいミニサーキットや、つねにレッドゾーン近辺の高回転を使い続けるジムカーナのような走り方で、低速だからといってエンジンオイルに優しいとは限らないと覚えておきたい。
エンジンの種類や使うオイルなどによって不要なケースもあるが、オイルクーラーの装着が致命的なマイナスになることはないはずだ。強いてあげれば油量が増えてオイル交換のコストが若干にせよ高くなったり、個々のパーツと増えたオイル分の重量はデメリットといえばデメリットかもしれない。
また装着する位置フロントバンパー内の前方であることが多いため、フロントからクラッシュすると真っ先に破損する確率が高かったり、オーバーハングの重量が増えることを嫌うドライバーもいるにはいる。もっともエンジンの保護や長時間に渡って全開できるメリットと天秤にかければ、明らかにメリットのほうが多いので気にするレベルじゃないのかもしれない。
個別にパーツを揃えて装着するのは注意が必要
続いて装着に際して注意すべき点を挙げてみよう。人気のあるスポーツカーは車種別のキットが販売されており、取り付けはボルトオンもしくは加工があるにしろ最小限で済むし、コアも大きすぎず小さすぎない最適なサイズになっているはず。
気を付けたいのはコアやホースといった部品を個別に揃える場合で、装着する場所/ホースの取りまわし/コアのサイズはよく考えよう。風が当たりにくい場所や熱に弱いパーツの近くを避けるのは当然として、ホースは短かすぎれば固定が難しくなり、長すぎれば干渉の危険がある。
そしてコアは「大は小を兼ねる」と考えがちだが、オーバークールと呼ばれる冷えすぎは逆にマイナス。オイルが適正な温度に上がらなければ本来の性能を発揮できず、コアに風が当たらないよう塞いで走ることになりかねない。冬だけならまだしもシーズンを通して油温が上がらないなら、コアをひとまわり小さいサイズに変更するのもひとつの手だ。
最後にDIYで装着するときは、車両火災や他車を事故に巻き込むオイル漏れが起きないよう、ホースが奥まで差し込まれているか、クランプが確実に締め込まれているか、ホースもコアもほかのパーツと干渉していないかを念には念を入れて確認してほしい。自信がない人はコアのサイズやメーカーの選択などを含め、技術のあるプロショップに相談するのがベターだ。