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神々しさに思わず柏手打ちたくなる! 街で見かけたら幸運間違いナシの「国宝級」旧車5選

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 高桑秀典/Auto Messe Web編集部

国宝級の国産旧車04:
マツダ・グランドファミリア

 続いて紹介するのは、もしかしたら中古車市場において一台も売り物がないかもしれないマツダ・グランドファミリアだ。マツダは1971年にファミリアプレストとカペラの間を埋める新たな大衆車として、グランドファミリアを発売した。同じタイミングに発売された初代サバンナとはシャーシやボディを共有する兄弟車だったが、ロータリーエンジン専用車であったサバンナに対し、グランドファミリアはレシプロエンジン専用車であった。ということで恐ろしく保守的なファミリーサルーンだったといえる。グランドファミリアのカタログ

 ボディ形状は、サバンナ同様、4ドアセダンと2ドアクーペ、そして5ドアのライトバン(サバンナはステーションワゴン)の3種類だったが、丸目4灯式ヘッドライトと丸型リヤコンビネーションランプのサバンナに対し、グランドファミリアは角型2灯式ヘッドライトと角型リヤコンビネーションランプを採用していた。

 1975年には丸目2灯式ヘッドライトに変更されるなど、販売促進のためのテコ入れが行われたが、モデルチェンジされることはなく一代限りで姿を消してしまった。筆者は実車を一度も見たことがないので、今回、国宝級の旧車としてセレクトさせていただいた。

国宝級の国産旧車05:トヨタ・スポーツ800

 最後に紹介するのはトヨタ・スポーツ800である。その誕生の経緯を記すとこういうことになる。通産省から1955年に発表された国民車構想に基づき、6年という年月を費やして開発された小型乗用車がトヨタ・パブリカだ。デビュー当初から好評を博し、一躍大衆車としての地位を確立した初代パブリカのメカニカル・コンポーネンツを流用し、愛らしいスタイルの軽量コンパクト・スポーツカーに仕立て上げたクルマがトヨタ・スポーツ800で、いまでも“ヨタハチ”の愛称で親しまれている。トヨタ・スポーツ800のフロントスタイル

 ヨタハチの直接的な祖となったのは、1962年に開催された第9回全日本自動車ショーにプロトタイプとして出品されたパブリカスポーツだ。試作車として生を受けたクルマなので、パブリカスポーツにはキャビン部分が戦闘機のキャノピーのように後方にスライドする機構が備わっていた。これには開発を担当した長谷川龍雄氏が、立川飛行機勤務時代に対爆撃機用の試作高高度防空戦闘機・キ94の設計に携わっていたことが深く関係していた。パブリカスポーツ

 航空機設計のスペシャリストであり、初代カローラの開発を手がけたことでも知られる長谷川氏は、初代パブリカの主査も務めたが、その開発が一段落した頃から初代パブリカをベースとしたライトウェイト・スポーツカーを作ろうと画策。少ないパワーで高性能を得るためには空気抵抗および路面抵抗を減少させ、なおかつ徹底的に軽量化を果たすことが重要になるという自論を、パブリカスポーツにおいて実践したわけである。トヨタ・スポーツ800のインテリア

 パブリカスポーツのコンセプトを受け継ぎ、改良のうえ量産化に至ったといえるトヨタ・スポーツ800は1965年に発売されたが、その開発時には当時としては画期的な風洞実験が行われ、ヨタハチは空力のセンターラインと重心のラインが揃っていた。また、日本で初めてボンネットやトランクリッドといった外板にアルミを採用し、総重量わずか580kgという超軽量化を実現。これは、シートフレームにまでアルミを使うといった努力を積み重ねたことによって達成することができた軽さであった。ヨタハチはエンジンこそ非力だったが、独自の空力設計と軽さで最高速度は当時のトップクラスとなる155km/hを誇る。トヨタ・スポーツ800のエンジン

 ちなみに、タマゴ型ボディを採用していたトヨタ・スポーツ800は、ルーフの部分だけを脱着できるデタッチャブルトップを持っていたが、これはパブリカスポーツのスライディングキャノピーでは認可が下りなかったからだ。そのため、ヨタハチ用としてドアの付いた普通のボディがデザインし直された。

 Cd値が0.30を下まわる空力ボディをはじめとする数々のアドバンテージを携え、トヨタ・スポーツ800は1965年7月に開催された全日本自動車クラブ選手権レースにエントリーした。ヨタハチのステアリングホイールを握り、GT-1クラスに参戦した故・浮谷東次郎は、5周目の最終コーナーでのアクシデントで一度は下位に沈んだが、その後、鬼気迫る走りをみせ、結局2位に19秒近い差をつけて優勝。トヨタ・スポーツ800の優位性を証明してみせた。いまでもファンが多いヨタハチは、これからも国宝級の旧車のひとつとして各方面で注目されていくだろう。

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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