308GTBから288GTO! そしてF40などのスペチアーレにも発展
308GT4が搭載していたエンジンは新開発、というかロードゴーイングのフェラーリとしては初となるV型8気筒で、バンク角はV8として一般的な90度です。カムドライブには静粛性の面で有利になるコッグドベルトを採用。
ウェットサンプながら2927cc(81.0mmφ×71.0mm)の排気量から255psを絞り出していました。ロードゴーイング・フェラーリの多くはピニンファリナがボディを手掛けていましたが、308GT4はベルトーネに依頼され、当時チーフデザイナーを務めていたマルチェロ・ガンディーニがデザインを手掛けています。
そのために曲面を多用するピニンファリーナで手掛けられた206GTや246GT、あるいは308GTB/GTSなどとは一線を画した仕上がりとなっていました。
ただしボディの製作は他のモデルと同様にスカリエッティで行われていました。直接的な先代モデルとなる246GTとはエンジンをミッドシップに横置き搭載するパッケージングは共通していましたが、ボディサイズ(4200mm×1700mm×1115mmから4320mm×1800mm×1210mm)やホイールベース(2340mmから2550mm)、車両重量(1080kgから1300kg)など大きく変わっていました。2シーターから2+2にコンバートしたことを考えれば、それも致し方ないといったところでしょうか
実際、308GT4に2年遅れてデビューした正統な後継モデル、308GTBでは3サイズが4230mm×1720mm×1120mmでホイールベースは2340mm、車両重量も1090kgに収まっているので、今更308GT4の文句を言うこともないでしょう。
ディーノあらためフェラーリ308GT4や308GTB/GTSは、V8エンジンをミッドシップに搭載したスモールフェラーリ・シリーズの祖となりました。そしてスモールフェラーリの流れからは、さまざまなモデルが登場しています。なかでも見逃せないのは308GTBをベースにして288GTOが登場し、その288GTOのエボリューションモデルでテストを進めて誕生したのがフェラーリ創立40周記念モデルのF40でした。
つまりエンツォが「(V12を載せていないから)フェラーリとは呼ばない」としていたスモールフェラーリが、スペチアーレと呼ばれる限定生産モデルへと発展。フェラーリの創立40周年、50周年を記念するモデルとなり、さらにはエンツォの名を冠したフェラーリ・エンツォフェラーリをも生み出すことになりました。草葉の陰でエンツォがどんな顔をしているか、ちょっと意地悪なことを考えてみましたが、意外にも満足気な表情をしているような気がします。