お手軽なイメージがある軽自動車レース参戦のコストはどれくらい!?
全国各地で盛り上がる軽自動車レース。実際にサーキットで熱いバトルを目撃し、新たに参戦を考えている人も多いだろう。普通車のレースと比較すればリーズナブルであり、近年の盛況ぶりに影響していることは間違いないが、実際のところ予算はどれくらいと考えればいいのか。複数のメンバーで費用を分担できる耐久レースを例に、車両の購入からチューニングや消耗品までを含めた、シーズンを戦うための参戦コストを算出してみよう。
年間全3戦の軽自動車耐久レースで試算してみた!
サンプルは『東北660耐久レース』で、もっとも改造できる範囲が狭い3クラス。12年目を迎えた『東北660選手権』の3クラスと同じレギュレーションであり、その気になればスプリントレースにも参加できるため一石二鳥といっていい。ベース車両はHA23アルトやL275ミラに代表される新規格NAで、フルノーマルの中古車なら価格は10~40万円、純正パーツの入手や経年劣化によるトラブルを考えれば、できるだけ新しいモデルのほうが出費は抑えられるはず。
それにロールケージ/車高調/ホイール/バケットシートなどを新品で揃えると50万円〜、車両と合わせれば100万円に届きかねず、ひとり当たりの負担もそれなりに大きくなる。コレでも普通車でレース車両に仕上げるよりは十分に安いはずだが、運が悪ければ一瞬ですべてを失ってしまうのがレースの宿命。クラッシュやエンジンブローからの復帰を考えると、製作コストは安ければ安いほうがいいのが明らかだ。
おそらく『東北660耐久レース』のエントラントでも、すべて新品で揃えたチームはおらず中古パーツを活用するか、レース車両そのものを中古で入手しているチームがほとんど。ノーマル車ベースで中古パーツを多めに装着するにしろ、中古のレースカーを手直しするにしろ、車両製作は50万円がひとつのラインになる。
車重が軽い軽自動車なら消耗品の負担は意外と少ない
次はエントリーフィー。『東北660耐久レース』は1年間に3戦のシリーズで開催され、エビスサーキットの西コースと東コースが3万7000円で、リンクサーキットが4万円。合計すると11万4000円となるが、タイム計測料やドライバーの保険料も含まれた価格だ。
あとは消耗品でレースごとに必ず交換するのがエンジンおよびミッションオイルで1万円~。普通車ならタイヤとブレーキパッドをレース1戦だけで使い切ることも珍しくないが、軽自動車は車重が軽いおかげでそれらの摩耗が非常に少ないのも大きなメリットだ。
コースとの相性や走り方によって多少の差はあるものの、全チームがレースごとに新品を投入しているワケじゃない。とくに『東北660耐久レース』の3クラスはNAなうえ改造範囲が狭く、軽自動車のなかでもとくにタイヤやブレーキへの負担が少ないと思われる。ちなみに3月27日に行われた開幕戦で複数のチームに話を聞いたところ、新品タイヤどころか「減らないので2年目です」なんて声があったほど。
ブレーキパッドはリンクサーキットが思いのほか厳しく、練習を含めフル参戦するなら2~3セットは欲しいが、パーツ自体が普通車より安いため年間で15万円ほど。ガソリンはハイオクの価格が180円、1レースで60Lが必要と仮定すれば、年間で3万円+αで間に合う計算だ。
初年度の負担は大きいが大人の嗜みと考えればリーズナブルか!?
ハブベアリングなどの定期交換パーツを含めても、初年度にかかるお金は90万円でお釣りが出る。当然2年目からは車両代の50万円はかからない。安いと感じるか高いと感じるかは人それぞれだが、年3戦のレースと考えれば十分にアリではないだろうか。ただし上で書いたとおりレースは事故でクルマを失ったり、エンジンやミッションを壊す可能性も少なくない。それらの出費もあらかじめ頭に入れておかないと、1戦だけで続けられなくなり気まずさだけが残った、なんて結末を招きかねないので気を付けよう。