暖かくなってくると虫たちも目覚める……
桜の季節も終わり、暖かな春風がワクワクさせる今日この頃。キャンプ好きの皆さまは準備に余念がないことでしょう。どのキャンプ場に行こうか、どんなギアを持って行こうか……と胸を躍らせているはず。しかし、気温が上がる季節は「虫」にとっても快適な季節でもありキャンプの準備に防虫対策は必須。蚊やブヨが本格的に活動を始める前に、しっかりと用意しておくことが肝心です。
今年の「啓蟄(けいちつ)」は3月5日から20日に終わってしまいましたが、啓蟄は暦の上で冬眠していた動物や虫たちが目覚める季節とされ、キャンプの大敵である害虫たちも活動を開始します。そのなかでも、キャンパーにとってもっとも嫌な存在である「蚊」は、早い場所では4月あたりから増え始め、油断をしていると痒い思いをすることになります。
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蚊は二酸化炭素や汗などに反応して寄ってくる
蚊に刺されないためにはしっかりとした防虫対策を施しましょう。蚊は人が吐き出す二酸化炭素に集まり、体温や汗の臭い、黒い服の色にも反応すると言われています。防虫対策として吐き出す二酸化炭素量が多くなり体温が上昇する飲酒はほどほどにし、黒い服装を避けてください。また、汗や足の裏の臭いに集まる習性があるため、こまめの汗を拭き取り、足の裏を清潔にしておくことも有効です。
蚊は風に弱いため、テントを張る場合には風通しの良い場所を選び、藪や林などの近くを避けるのも賢い選択になるはずです。木陰の涼しさを優先するのであればこまめに防虫スプレーを塗布し、テントサイトに蚊取り線香や蚊取りマットを置くことをお忘れなく。
個人的なおすすめとしては、通常の蚊取り線香よりもより太くて煙の多いアウトドア用の「富士錦パワー森林香」は頼りになる存在です。蚊取り線香の臭いが苦手という人にはバラの香りがする「アース渦巻香/薔薇の香り」や、ラベンダー、バラ、カモミールの3種類がセットになった「アース渦巻香/アロマセレクション」を選ぶと良いでしょう。話題の商品として、懐かしの“蚊取り豚”をドライカーボン素材で作ったA-TECの「蚊取り線香ホルダー」は、キャンプサイトでも注目を集めるはず。
蚊取り線香の煙が嫌だというキャンプ好きにはコールマンとアース製薬のコラボ商品として発売された「コールマンどこでも使えるアースノーマット」がおすすめ。電池式なのでキャンプサイトやテントの中でも活躍してくれます。
厄介なブヨはペパーミントの香りやトンボのブローチが有効
同様にキャンプン大敵であるブヨ(ブユ)。刺されてしまうと猛烈な痒みと痛み、腫れなどの症状に襲われ、体質によってはアレルギー反応を起こすこともあるので注意してください。もし刺されてしまったら患部を冷やしてステロイド系の軟膏を塗りましょう。症状が治まらないようであれば、速やかに病院へ行き適切な処置をしてもらうことが大切です。
そんなブヨに刺されないためには露出の多い服装を避け、ブヨに効果のある防虫スプレーをしっかりと塗布すること。蚊取り線香や蚊取りマットは「蚊」の名前が付いていますが、ブヨにも有効です。また、ブヨはミント系の臭いを嫌うとされ、ハッカ油やペパーミントの香りがする防虫スプレーやグッズを携帯するのもおすすめ。
最近ではブヨや蚊の天敵であるオニヤンマ(大型のトンボ)を模したブローチの人気が高く、帽子やシャツ、テントの入り口に装着することで防虫対策になるといわれています。色々なメーカーから商品が発売(1000円から1500円程度)されていますが、100均のセリアからも100円商品としてリリースされたので、使ってみるのも面白いかもしれません。
スズメバチは刺激しないことが大事
これからの季節、もっとも注意しなければならないのが「蜂」。とくにスズメバチは4月から5月に巣分かれをして新しい女王蜂が巣作りを始めます。スズメバチの巣は木の上や軒下というイメージがありますが、倒木や土の中に作ることもあります。藪や森の散策中に不要に踏みつけてしまうと大変なことになるので注意してください。
スズメバチを見つけたときは走らずにゆっくりと退散し、決して刺激をしないこと。スズメバチは顎を鳴らしてカチカチという威嚇音を発しますが、このカチカチという音はそれ以上近づくなという警告なのです。
スズメバチから身を守る方法は多くはありません。巣やスズメバチを見つけたら絶対に近づかないこと、スズメバチが攻撃対象として認識する黒や濃茶色の服装をしないこと、強い臭いを発する香水や整髪料、柔軟剤は禁物です。この黒や茶色の服装、強い臭いを攻撃対象とみなす習性は天敵である熊への防御だと言われています。
やっかいなヤマビルは服装などで対策を
最後に虫ではありませんが、山や森林でのキャンプで注意してほしいのは「ヤマビル」です。ヤマビルは北海道を除く日本全国の湿度の高い森の中へと生息地を拡大し、人が吐き出す二酸化炭素や体温を感知して集まる習性を持っています。
静かに近づき、人に襲いかかるグロテスクな生き物はミミズやゴカイの仲間で、人の血を吸う恐ろしい吸血生物。人の肌に吸着してのこぎり状の歯で皮膚を食い破って吸血をするのですが、吸血と同時にヒルジンという痛みを無くする物質を放出することで血を吸われている間に痛みを感じることはありません。
最初は細長いミミズのような形をしていますが、血を吸い続けることで丸々とした姿になります。対策としては露出の多い服装やサンダルなどの軽装で山や森に入らないこと。そして、ズボンの裾を靴下の中に入れて足元からヤマビルが入り込まないようにしてください。このスタイルはヤマビルだけでなく重篤な症状を引き起こすマダニの寄生も防止することもできます。
ヤマビルに血を吸われている場合には無理やり剥がさず、専用のヤマビル忌避剤やメンソール系のローション(シーブリーズなど)、塩、または飽和食潜水(水に溶ける最大量の塩水)をスプレーボトルに入れておき吹きかけることで剥がすことができます。タバコやライターの火をヤマビルに近付けるのも有効な方法になりますが、この方法を試す場合には火傷をしないように注意してください。
吸血された場合には、患部に付着しているヒルジンを血と共に押し出し、清潔な水やアルコールで消毒したあとに虫刺され用の軟膏等を塗り、絆創膏で傷口を保護してください。
軟膏や絆創膏などを備えておくと安心だ
啓蟄も過ぎ、虫や動物が活発に動き始める季節。これからのキャンプにはしっかりとした防虫対策を施し、万が一のために抗ヒスタミンの軟膏やかゆみ止め剤、消毒用アルコール、絆創膏などの救急セットを用意しておくことも大切です。また、病院や緊急を要する搬送に備えて保険証、または保険証のコピーを携帯しておきましょう。キャンプ中やキャンプ後に症状が悪化した場合には絶対に我慢をせず、速やかに病院へ行き適切な治療を受けて下さい。