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RRじゃなくてもやっぱりポルシェ! じつは名車揃いだったFRモデルを振り返る

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了/Porsche

V8とヴァイザッハ・アクスルを搭載した豪華なGTカー・928

 さて、ここまで924から944、そして968と直列4気筒エンジンをフロントに搭載して後輪を駆動するシリーズの流れを紹介してきましたが、そのなかでも何度か触れてきた上級モデル、「928」についても触れておくことにしましょう。

 928は1978年に登場したポルシェのフラッグシップモデルで、搭載しているエンジンは4474cc(95.0mmφ×78.9mm)のV型8気筒、「M28.03型」で最高出力は230psでした。そのコンパクトなV8エンジンをフロントミッドに搭載し、デフと一体式となったトランスアクスル式のミッションにトルクチューブで駆動力を伝達して後輪を駆動するパッケージは、924/944/968に続いてポルシェとして2機種目のFRモデルとなっています。

V8エンジンをフロントに積んだ「928」

 フラッグシップスポーツだった911とは異なり豪華なグランツーリスモを目指した928は、エンジンも水冷で、カムシャフトをコッグドベルトで駆動し、ハイドローリック・タペットなど最新技術を惜しみなく盛りこんでいました。フロントがコイルで吊ったダブルウィッシュボーン式、リヤがコイルで吊ったセミトレーリングアーム式のサスペンションが装着されていましたが、後輪のトーインを機械的に制御してコーナリングフォースを安定させる「ヴァイザッハ・アクスル」がリヤに組み込まれていたのが大きなエポックとなっています。

928で採用されたヴァイザッハ・アクスル

 エンジンに関しては80年に登場した「928S」では、ボアを2mm拡げて排気量を4664ccに拡大し最高出力は270psとなり、85年に登場した「928S2」ではさらにボアを3mm拡げて排気量を4957ccまで拡大。最高出力も292psと、300psの大台にあと一歩というところまで引き上げられていました。その後も何度かパワーアップが繰り返され、最終モデルとなった「928GTS」ではストロークを7mm延ばして排気量を5397ccにまで拡大。最高出力は350psにも達していました。

グラマラスなリヤのスタイル

 またこれは市販モデルではなく試作モデルの範疇となるのですが、84年にはフェリー・ポルシェの75歳を祝ってスポーツワゴン風にフル4シーターに仕立てられたワンオフモデルが製作されました。現在はドクターズカーの名でポルシェミュージアムに展示されています。ホイールベースやルーフラインを伸ばしたエクステリアは、これがパナメーラの先祖か、と感慨新たでした。

1984年にワンオフ製作された4シーターの928

12
  • ポルシェ初のミッドシップ車「914」
  • ポルシェ924のカタログに描かれたメカニズム
  • ガラスのハッチゲートが特徴的だった
  • ポルシェとして初めてのFRレイアウトだった924
  • V8エンジンをフロントに積んだ「928」
  • 928で採用されたヴァイザッハ・アクスル
  • 1980年式の924ターボGT
  • グラマラスなリヤのスタイル
  • 1981年登場の「944」
  • ツインカム16Vとなった944S
  • 「968」の最終型、1995年式のカブリオレ
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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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