サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

一時盛り上がったアイドリングストップには「セルフ派」もいた! クルマには決してプラスじゃない同機能の是非

アイドリングしているクルマ

環境に優しいはずのアイドリングストップ機能が存続の危機に!?

 一時期はブームのように話題になった、自動アイドリングストップ機能未装着車が自らイグニッションをオフにするセルフアイドリングストップ。当時は駐停車中にアイドリングストップをしないクルマは「悪」の烙印が押され(現在も無駄なアイドリングは控えたい)、2000年代後半にアイドリングストップ機能が標準またはオプション装備されたクルマが増えたことで、今ではセルフアイドリングストップの行為自体が話題になることはめっきりなくなった。

 ところがここ数年で、アイドリングストップ機能をあえて外してしまうクルマが増えたことで、アイドリングストップ機能の是非が語られるなど少しややこしい状況になっている。そこで、まずはアイドリングストップ付きとそうでないクルマとで、どのような違いがあるのかを整理したい。

セルフアイドリングトップは円滑な交通の妨げにもなることも

 まずアイドリングストップ機能が付かないクルマで、開かずの踏切のような最低でも5分以上待つことが確実な場面以外では、セルフアイドリングストップはやらない方が賢明だ。現在はわざわざ手動でやる人は少ないと思うが、少々の信号待ちでいちいちエンジンを停止していたら、信号が青に変わったときの発進が遅れてしまう。「多少の遅れぐらいは良いじゃないか」と思うかもしれないが、その時間によって発進が数秒遅れ、本来はその信号を通過できたであろうクルマが無駄な信号待ちを余儀なくされることになる。警察庁が推奨する円滑な交通という観点から鑑みても、決して正しい行為とは言えない。

 その理由は、自分だけじゃなく周囲のクルマも含めた環境対策を考えるべきで、自分がエコを心掛けてセルフアイドリングストップして燃費やCO2の排出を抑えることができても、アイドリングストップ機能を持たないクルマが無駄な信号待ちを強いられることで発生するCO2の排出は決してエコとは言えない。

アイドリングストップ機能をカットすることでクルマへの負荷は軽減できる

 クルマの装備を面で考えると、アイドリングストップなしの乗用車は、設計上頻繁にエンジンスターターを使うことを想定しているわけではない。もちろん10年10万km程度では簡単に故障しない現在の日本車だではあるが、頻繁にセルフアイドリングストップをしていると、バッテリーやセルモーター、エンジン本体にまで余計な負荷がかかりトラブルの原因になる。

 これはチョイ乗りと呼ばれる比較的低速(40km/hぐらいまで)な走行で数kmしか走らない場合も同様に、シビアコンディション(過酷)に該当する。チョイ乗りだからたいして距離を走っていないしという認識は誤りで、バッテリーやエンジンオイルの劣化につながる。クルマへのダメージを考えるとアイドリングストップ機能をカットする選択肢も頭に入れておきたい。

バッテリーなどの負担軽減を優先するならアイドリングストップオフが正解

 ではアイドリングストップ機能が付いているクルマも負担がかかっているのか? といったら半分正解で、半分が不正解。基本的にはアイドリングストップ機能ありきでエンジンやそのほか補機類の開発を行っているため、基本は車両側の判断に任せればよい。日常の運転ではクルマ任せにすることで、クルマ自身が最適解を出してくれる。

 ところが渋滞時は異なる。真夏にエアコンを使っている場合は、アイドリングストップ車は30秒程度でエンジン停止と始動を繰り返す場合が多い。これは一度エンジンを停止したものの、エアコンを使っているからエンジンが始動しないと発電ができないからエンジンを再始動する。

 エンジン始動時はアイドリングよりも燃料を多く使うことになるので(例外もあるが)、本来であればエアコン使用時はアイドリングストップが働がなくなるような機能を備えればよいのだが、アイドリングストップのオフスイッチがあるためか、そこまでの機能を備えたクルマは少ない。

 また、コンビニなどの駐車場などで電話する場合も注意が必要だ。本人は短時間だと思っているかもしれないが、アイドリングストップ機能付き車の場合、短期間にエンジンの始動と停止が行なわれているはず。これは燃費面でもよくないし、バッテリーに与える負荷を考えても決してよいものではない。そもそもバッテリーは充放電の回数が少ないほど耐久性が高い。信号待ち以外の駐車の場合はアイドリングストップをオフにしたほうがよいだろう。

ハイブリッドカーであってもバッテリーの性能低下は避けられない

 もちろんハイブリッドカーの場合でも、停車中にエンジンのオンオフが頻繁に繰り返されるアイドリングストップはやめた方がよい。過走行と言えるほどではない10万km以下の走行距離なのに(例えば5~6万km程度)、ハイブリッドカーのバッテリーがダメになってしまうのは、オンオフを繰り返すアイドリングストップ機能によるバッテリーへの負担が原因と考えられる。

 それは最先端のハイブリッドカーであってもバッテリーの基本性能には限界があり、劣化が進んでしまうことで結果的に燃費に悪影響を及ぼす。渋滞中や信号待ちなどではアイドリングストップを活用し、駐停車時はエンジンをオフにする。このほうがクルマには優しいと覚えておきたい。

ユーザーの経済的負担軽減のためにアイドリングストップ機能が省略されている

 冒頭で少し触れたが、最近のクルマではアイドリングストップ機能を省略している車種が増えているというのは、こうした理由があるから。アイドリングストップ車のスターター用バッテリーは高価である反面、短時間で大きな電力を出し入れすることが求められる。結果として高価なわりに寿命が短くなる傾向がある。そうしたユーザー負担に対して配慮したのがアイドリングストップ機能の省略につながっている。

 21世紀になって久しいが、いまだにエンジンの始動用バッテリーが鉛であり、ハイブリッドにはリチウム系かニッケル水素系が使われているのは、それぞれの適材適所があるから。それらの適正を考えて使うのがベストで、トヨタがニッケル水素電池のバイポーラ型を搭載したが、これがすべてのトヨタ車に置き換わる予定はないようだ。つまり、適材適所に合わせて適したバッテリーが搭載されるため、ハイブリッド車やアイドエリングストップ機能付き車に採用されている、高性能バッテリーがすべて万能というわけではないのだ。

結論として信号待ちなどでのセルフアイドリングストップは「しない」が正解!

 近年の電力不足は大きな問題となっているが、基本的に電気を貯めることは非常に効率が悪いので、電力会社は電力を貯めることなくつねに発電で電力を賄おうとしている。毎日使っているから気が付かないかもしれないが、スマホのバッテリーは電源を切っていても、数日経てば数%は減るもの。溜めるのが難しくて勝手に減るのが電気なのだ。

 アイドリングストップ車はエアコンが必須な季節はアイドリングストップ機能をオフにする。アイドリングストップ機能がないクルマは、酷い渋滞などでウンともスンとも進まないような状態であれば、エンジンを一旦オフにすることもありだが、基本的にはセルフアイドリングストップはオススメしない。

 クルマが最新装備でどれほど簡単に運転できるようになろうが、いまだ機械の集合体なのだから機構を理解して使わなければ、機械自体に負担がかかる。負担増はトラブルにつながるのでトラブルは金銭的にも環境的にも負荷をかけることになる。アイドリングストップは正しい知識が必要な行動であり装備だ。道路を走っているのは自分だけではないことを認識して地球規模での削減、削減方法を模索したい。

モバイルバージョンを終了