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どっぷり付き合って味わった天国と地獄! それでも色褪せない最後のシルビアS15の魅力とは

1999年から2002年まで生産された日産S15型シルビア

いまだ色褪せない日産のFRターボ

 最後の「シルビア」、S15型。噂される新型シルビアが登場しない限り、シルビアシリーズの現時点で最新作であり、ブラッシュアップを重ねた最高傑作と言っていいだろう。生産終了から約20年が経過した今もそのスタイルとその走り、チューニングベースとしての魅力は色褪せない! かつてS15に乗って酸いも甘いも味わってきた筆者が、その凄さと実体験を語る。

購入後の初サーキットでいきなりクラッチブロー!

「SR20DET」エンジンを搭載していたS15。可変バルブタイミング機構が備わり、それまでのS13系に比べると低中トルクと高回転の伸びを両立でき、圧倒的に乗りやすくなった。ベースとしての魅力が高まったうえにターボエンジンならではのパワーアップ・メニューが多数用意されていた。

 筆者が中古で購入したS15も純正タービンでブーストアップ済みのもの。喜び勇んで本庄サーキットに繰り出したのだが、サーキットを全開で数周すると、なんだかパワー感が薄い……ピットに戻ると身動き不能に。具体的には1速にギヤを入れてクラッチペダルを離しても、エンストどころか振動さえないのである。

 都内から救援部隊の積載車を19時まで待って、なんとか回収してもらった。クラッチはすでにボロボロになっている個体だったのだ。走る前にはエンジン、ミッションから駆動系までチェックしてもらいましょう。

そんな大人なオレは純正エンジンマウントを買ったのだった

 もう30歳近い(当時)大人としては、純正の良さを引き出すことが大切だ、と思ってエンジン、ミッションマウントを交換。後日ショップにお金を払いに行くと、部品代だけで3万5000円近くしていた。2010年ごろの話である。純正エンジンマウントなんて数千円で、エンジンとミッション用の3個でも1万3000円くらいな感覚でいたのだが、毎年の純正部品価格改定で、圧倒的な価格になっていたのだった。

 ちなみにその当時はまだ値上げしていなかったNISMO製強化エンジンマウントの方が安いという逆転現象が発生していた。だったらNISMOにすればよかった……。

ブーストアップもタービン交換も選び放題!

 シルビア系最大の魅力はその拡張性。とはいっても自動車メーカー側ではなく、アフターパーツでの拡張性に富んでいる。さまざまな仕様にするためのパーツが用意され、まさにみんなで魅力を高めたのがS15なのだ。

 新車時は250psそこそこだったが、ブーストアップで300ps弱にしてバリバリのレスポンス仕様も痛快で楽しい。タービン交換なら350psくらいまではポーンと出せて壊れない。これがシルビアの魅力。タービンキットも20万円前後なので、工賃とコンピュータのセッティングを入れても35~40万円ほど。ミッションもそのくらいなら許容範囲なので、1200kgそこそこのボディの350psのスペックが、車体+100万円以下で作れた。

 どのパッケージにしようと迷いまくった結果、純正タービンのブーストアップ仕様に乗っていたのだった。

全開で周回していたらミッションが……

 アイシン製6速MTはヤワではないが、強いわけでもない。S15でパワーを出していくと、徐々に内部は辛くなる。筆者もサーキットを走りまくった結果、ギヤが入らなくなってしまった。そもそもS13時代からの5速MTをなんとか6速MTにしてあるので、ギヤが薄くて強度が無いとかいろいろ言われているが、とにかくミッションはいたわりたい。

 でも、シルビアには「ニス6」がある! ニス6とは通称で、NISMO製6速強化ミッションのこと。ニスモが6速MTをベースにギヤ比をクロス化して強化したもので、価格はなんと35万円! 「86/BRZ」のノーマルミッションと変わらない価格で、ニスモの強化ミッションが買えるのだ。これはカッコいい響きだけで買うのもあり(笑)。

 そんなシルビアはいまだにチューニングパーツが豊富にあり、日産としては最後の軽量リヤ駆動ターボ車でもある。まだまだ乗る魅力はある。問題は価格で、もともとターボエンジンの「Spec.R」は200万円以下ではまず無理。新車を超えるような価格でないとマトモな個体は出てこないのが悩みのタネである。

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