パーツ販売やレストアサービスなどがビジネスとして成立する
近年日本の自動車メーカーが絶版名車のパーツを復刻し、旧車をレストアして乗ることが世間的にも認められ始めている風潮があります。しかし、こういった自動車文化は古くからアメリカで盛んです。なぜアメリカではレストア文化が根付いているのでしょうか。
日本市場の比較にならないほど販売台数が多い
アメリカでレストア文化が盛んな理由のひとつに、クルマの販売台数が多いという背景があります。販売された台数が多いため、人気の車種を中心に現在でも多くの車両がオーナーの元で大切に所有されていたり、中古車市場で流通しています。そのため古い車種のパーツ販売やレストアサービスなどが、ビジネスとして成立していきました。
そのもっとも分かりやすい例と言えるのがフォード・マスタング(初代)で、1964年に登場してから約4年半で130万台ほどが販売されたと言われています。マスタングで言えば大物のホワイトボディから小さな内外装パーツまで、アフターパーツで揃わないパーツはないと言われています。マスタングはもっとも極端な例とも言えますが、日本に比べてアメリカでは絶対数が多いだけに、ビジネスも成立しやすいのです。
制度と気候が旧車に適した環境
そして、旧車を取り巻く環境も大きく影響しています。アメリカは日本に比べて車検制度が緩く、州によっては税制面でも優遇され維持がしやすい制度になっている、というのは日本でも知っている人が多いことでしょう。
それに加えて気候も味方をしてくれています。高温多湿な日本では車体に錆が発生しやすく、ボディのコンディションを保つのが大変です。一方で、アメリカは西海岸を中心に湿度が低く過ごしやすい気候のため、錆が発生しにくくクルマ全体の状態の良い旧車が多いのが特徴。アメリカは制度的にも、気候的にも旧車にとって過ごしやすい環境といえるでしょう。
アフターパーツはもちろん純正補修部品の再生品も多く揃う
そんな旧車好きにとっては最高と言える環境のアメリカ。パーツをはじめとした旧車向けビジネスも日本に比べて昔から盛んに行われています。アメリカのさまざまなアフターメーカーがパーツ供給をしているため、カスタマイズパーツはもちろん純正パーツの代用として使うことができる再生パーツなど、「維持」していく上で必要なパーツも多く出回っています。
そのパーツの多くが中国や台湾などといったアジア圏の国にある工場で製造されています。そう聞くと精度や商品のクオリティに疑問を持つ人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。最新の技術を取り入れ、製造されたパーツはクオリティが高く、なかには純正パーツを上回るものもあると言います。とくに樹脂系の素材で出来たバンパーなどは、純正よりもクオリティが高いことが多いそうです。
アメリカで旧車文化が盛んなのは、旧車にとって過ごしやすい環境と、ビジネスとして成り立つアメリカの自動車市場そのものの大きさが影響していると言えます。もちろん、日本で同じことを望むのは難しい話ではありますが、もしも「パーツで困った」ということがあったら、アメリカのネット販売をチェックすると面白い発見があるかもしれません。
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取材協力:レストアパーツ.com