ヴェゼルかヤリスクロスがオススメ
普段使いがしやすく、しかもアウトドアでも大活躍してくれそうなコンパクトサイズの国産クロスオーバーSUVと言えば、小さすぎず、3ナンバーサイズでもそれほど車幅が広くないホンダ・ヴェゼル(1790mm)、トヨタ・ヤリスクロス(1765mm)、日産キックス(1760mm)あたりが筆頭候補となるはずだ。全車、ハイブリッドが選べ(キックスはe-POWERのみ)、200万円台~の価格という点でも一致する。
では、アウトドアにもっとも似合うデザインの持ち主……と考えると、もっともSUVテイストが強いのはヤリスクロス。ヴェゼルとキックスはけっこう都会的なデザインとなる。とくにヴェゼルは欧州プレミアムSUVを思わせる洗練されたスタイリッシュさが際立つ、という印象だ。
アウトドアに似合うかどうかはともかく、内外装のデザイン性ではヴェゼル圧倒……というのが、ヴェゼルを2000キロ以上走らせた経験のある筆者の考えだ。ヴェゼルのTVCM曲、藤井 風の「きらり」を流して走るヴェゼルのe:HEVモデルにぞっこんでもある。
だが、ここはどれがアウトドアに最適か? がテーマ。とすると、まず見るべきはアウトドアの荷物の積みやすさである。
ラゲッジルームはキックスか? それともヤリスクロスか?
各車のラゲッジルームの寸法を比較してみると、ヴェゼルは開口部地上高690mm、開口部段差40mm、フロア幅1010mm、フロア奥行き755mm、最低天井高780mm。
キックスは開口部地上高680mm、開口部段差115mm、フロア幅980mm、フロア奥行き890mm、最低天井高880mm。
ヤリスクロスは開口部地上高745mm、開口部段差35mm、フロア幅995mm、フロア奥行き790mm、最低天井高710mmとなる。
ここで何を見るべきかと言えば、まず重い荷物の出し入れ性では開口部地上高とそこの段差。開口部地上高が低いほど重い荷物の出し入れは楽で、さらに段差がないほうが使い勝手がよい。また、3台ともに大きな違いのないフロア幅も重要だが、より荷物の積載性にかかわるのがじつはフロア奥行きだ。ここが不足すると長さのある荷物の積載性がガクンと落ちるのだ。
アウトドアとは関係ないが、ヴェゼルの場合、先代モデルのフロア奥行き790mmに対して現行型は755mm。その差によって、現行型ではゴルフバッグが後席使用時ではどうやっても積み込めない事態になってしまうのだ。その点では、ラゲッジルームのフロア奥行きに余裕があるキックス、2段デッキボードの使い勝手が優秀なヤリスクロスが優位ということになる。
ラゲッジルームの高さ方向は、ここでは最低天井高を記しているが、天井ギリギリまで荷物を積むのは勧められない。バックモニターが付いていたり、デジタルルームミラーがあったとしても、後方視界や万一の際の荷物のキャビンへの飛び込みなどを考えると安全上で問題があるからだ。
よって、天井高に余裕があったほうが、大きな荷物になりがちなアウトドアでは荷物の積み込みやすさを含め有効と言えるのだ。3台のなかの天井高の高さでは、キックス、ヴェゼル、ヤリスクロスの順となる。