V型はクルマ全体の運動性能も高められる
もうひとつのV型はシリンダーを左右に交互、つまりV字に配置したエンジンのことを指す。直列より全長を短くできるため気筒数の多いエンジンに適しており、決してメジャーではないがV6の倍であるV12なんて例も存在する。
ちなみにエンジンはクルマで最大の重量物なので、全長が短ければ重心を車体の中央に寄せやすく、運動性能の面でも大きな武器といっていい。なお近年ではボディ前部をクラッシャブルゾーン化する設計の考え方も影響しているのか、大排気量の割にコンパクト(とくに全長)なV型エンジンを採用する傾向が強いようだ。
しかしながらシリンダーを分けて配列したことは、メリットでもありデメリットにもなっている。理由は左右の両方にカムシャフトなどのパーツが必要で、パーツ点数が多くチューニングや修理のコストが上がり、重量も増えれば排気系の取りまわしも複雑になること。
そして全長が短い代わりに横幅は直列より広く、補機類のレイアウトによっては整備性も悪い。よく知られるV型エンジンはアメ車のV8やフェラーリのV12、そして国産ならR35GT-RのVR38DETTあたり。V型は大排気量に適したレイアウトだけに、車両価格が高めなのは仕方のないところだ。
直列にしろV型にしろ国産の名の知れたエンジンであれば、チューニングのパーツがなくて困ることはないと思われる。それぞれのメリットやフィーリングの違いを把握したうえで、自分の好みや予算に合うエンジンを見つけて楽しんでほしい。