古いクルマをイジメる国は世界的に珍しい
いよいよ年に一回の自動車税納付の時期がやってきた。とくにクルマ好きで複数の車両を所有している人にとっては財政的にも辛い時期だ。まして登録から13年が経過した、いわゆるクラシックカーを所有している人は15%もの増税を強いられることになるのだ。そこで世界各国のクラシックカーと税制事情を見ていくと、意外にもそのほとんどが税制優遇を行っていることが判ってきた。
クラシックカー保護の先進国ドイツ
ドイツでは製造から30年が経過したビンテージカーに対して大部分がオリジナル状態であることが認定されると、クラシックカーとして登録され、ナンバーの末尾にHがつく通称「Hナンバー」が交付される。Hナンバーが交付された車両は、法的に通常の自動車とは別の扱いとなり、通常は排気量や排出CO2の量で課税される自動車税が一律になるなど、ほとんどの排気量の車両が事実上の免税となる優遇処置がある。
そのほか、排出ガスの量などに応じて発行される環境ステッカーの有無で、通行が規制される都市部においても通行の規制を免除される。また自動車保険も年間最大走行可能距離を制限したクラシックカー専用の保険が各社から発売されている。
古い車両に対する手厚い保護措置があるイギリス
イギリスでは2014年以来、製造から40年が経過したクラシックカーに対する自動車物品税が免除される法律が施行されている。これは「英国政府としてクラシックカーを国の重要な遺産ととらえ、免税措置によってクラシックカー産業を支援する」という指針に則ったもの。
さらに2018年からは製造から40年経過かつ、直近30年以内に主要な部分の大幅な改造を受けていない車両を「歴史的に重要と認定された車両」とし、通常であれば購入から3年が経過したあとに毎年課される法定検査(MOT)の免除処置も導入されている。またロンドン市内など超低排出ゾーンへの侵入規制も免除となる。
そもそも自動車税自体が廃止されたフランス
フランスでは、そもそも2001年に自動車税が廃止されたため、クラシックカーに対する自動車税の優遇制度は存在しない。ただし登録の際に支払う登録税はもともと新車の際の費用が一番高く、古くなるほど安くなるシステムとなっており、優遇措置ではないものの、古い車両ほど登録費用が安くなる仕組みとなっている。
また2009年より、製造から30年以上経過した車両をクラシックカーと認定し、自動車登録証にもクラシックカー認定を受けた車両である旨が記載され、通常2年ごとの技術検査が5年ごとに緩和されるほか、1960年以前に製造された車両に関しては検査自体が免除される。またスポーツカーなどに課されている馬力に応じた追加税も免除となる。