シビック・タイプR:「TRY! HONDA RACING SPIRIT」
そして日本市場へはタイプRシリーズの3番目として1997年8月に投入されたのが、「シビック・タイプR」の記念すべき初代モデルだ。カタログを開くと最初のページから「走行シーン」なのが印象的で、文面も少し長いが引用しておくと「レーシングカー開発の手法を用いた、TYPE Rである。チューニングという最もノウハウが要求される領域で、ホンダの技術と情熱が結実した。その走りの系譜は、いまホンダの原点ともいえるクルマ、CIVICにも受け継がれたのである。」とある。
本文14ページ中で、いわゆるメカニズム紹介に割かれているのは4ページだが、それだけにポイントを簡潔に抑えた構成だ。リッター116psの185psをモノにした「スポーツエンジン1.6L VTEC」の「B16B 98 spec.R」の紹介に始まり、4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションのロール剛性が高められた話。続けてインテグラ・タイプRと同様のメカニカル式トルク感応型ヘリカルLSDの採用、フロント15インチ、リヤ14インチの大径4輪ディスクブレーキ、専用タイヤ&アルミホイール、さらにチタン製シフトノブ、レスオプションとして用意されるエアバッグなしのMOMOのステアリングの紹介などもある。
カタログをタブレットで見せられるようになってしまった今となっては懐かしい、シビック・タイプRに乗りたいと思うファンが、胸をときめかせながら寝ても覚めても一字一句漏らさず眺めていたい……そんな紙のカタログに仕上がっている。