素材からデザインまでクーラーボックス選びのポイントは多い
このコラムを読んで頂いている読者の皆さまは、怒濤のゴールデンウィークを満喫したでしょうか? 季節も春から初夏へと移り変わり始め、キャンプを楽しむには最高の季節がやって来ます。これからは気温もグングンと上昇していきますが、本格的な夏を迎える前には「梅雨」を忘れてはいけません。ジメジメとした湿度はカビや雑菌の増殖を促し、高い気温は脱水状態を引き起こす原因になるのです。
そんなとき、大きな存在感を発揮してくれるのが「クーラーボックス」。最近では100円ショップで手に入る簡易保冷袋から有名アウトドアブランドがリリースする高機能ハードクーラーボックスまで、多種多様のアイテムが登場しています。しかし、アウトドア用のギアのなかで最も選びにくいのがクーラーボックスであり、アウトドア上級者でも苦労すると言われています。ここでは、クーラーボックスの正しい選び方を伝授しますので、夏に向けたクーラーボックス選びの参考にしてもらえれば幸いです!
その1:保冷性能の表示に騙されてはいけない
クーラーボックスは明確な評価基準が定められておらず、シュラフのように適応温度帯などで選ぶことができません。各メーカーのカタログには保冷日数が記載されていることもありますが、テストを行う条件や方法が統一されておらず、信憑性に欠ける商品も少なくありません。室温でテストしたアイテムが3日間の保冷日数と記載されていても、外気温が30度を越える夏のアウトドアでは役に立たない可能性もあるのです。商品表示を確認する場合、日本産業規格(旧:日本工業規格)であるJISマークが付いているものは保冷力の試験をクリアした証なのでひとつの目安にすると良いでしょう。
その2:使用される素材によって性能を見極める
性能を左右するのが使用されている素材。これは外見ではなく保冷力を発揮するために、外壁と内壁の間に充填される素材に何を使っているかという意味です。一般的にもっとも保冷力が高いのは真空断熱パネルとされ、釣り具メーカーの多くが採用しています。次に発泡ウレタンと呼ばれるもので、一般的な素材であり多くのアウトドアブランドが使用しているポピュラーな素材。比較的安価に抑えることができ、性能も高いと言われています。もっとも安価なのが発砲スチロールです。保冷性能は高くありませんが安価なのが魅力です。
多くのブランドが使用する発砲ウレタンですが、保冷力を比較する場合にはその「厚さ」に注目して下さい。オーソドックスなものでは3cm程度ですが、高性能モデルでは4.5cmや5cmの厚みを持つ商品も存在しています。クーラーボックス選びに迷ったら「厚さ」の違いを性能比較として検討しましょう。ブランドによっては充填素材や充填剤の厚みを表示していない商品もありますが、個人的には重要な性能を表示していないものは信用しないようにしています。
その3:大は小を兼ねない……のがクーラーボックスの難点
自分のキャンプスタイルに合わせたサイズを選ぶことが重要。ソロキャンプに50Lのクーラーボックスでは大きすぎ、夏のファミリーキャンプで30Lでは小さすぎるということ。キャンプスタイルや宿泊数によって食材の多さ、飲み物の量などに違いがでてしまうこともあり、自分のキャンプスタイルにマッチしたサイズを選びましょう。
また、人数の多いファミリーキャンプの場合、飲み物と食材を分けて複数個のクーラーボックスを用意するのも賢い方法です。クーラーボックスは密閉(フタを閉めた状態)しておくことで保冷能力を持続させるため、つねに飲み物を取り出すために開閉回数が多くなると庫内の温度が上昇してしまい、食材の鮮度を保つことができなくなります。これからの季節は食材が傷んでしまえば食中毒を起こす恐れがあるため、食材と飲み物を分けて保存することをおすすめします。