近年盛り上がりを見せる軽自動車のスポーツモデル&チューニング
軽自動車のスポーツモデルはじつはここ10年で急速に盛り上がっている。「ダイハツ・コペン」が2世代にわたってラインアップ。「スズキ・アルト」は「ターボRS」が登場し、出ないと噂されていた「アルトワークス」もデビューした。そして、ホンダはミッドシップにターボエンジンを搭載したスペシャルモデル「S660」をリリース。軽においては「走れる素材がない」とは言わせない、充実のラインアップを誇っていた。
2022年現在、新車で買えるのはコペンだけになってしまったが、それでも中古車市場には豊富にタマがあり、軽スポーツで遊ぶなら今なのである。では、どれにしたらいいのかを改めて見てみよう。
吊るしのまま普段乗りが楽しい「ダイハツ・コペン」
■コスパ:★★☆
■チューニングの選択肢:★☆☆
■ポテンシャル:★★☆
まずは現行で買えるコペン。現代の軽スポーツで唯一の電動ハードトップ装着車である。S660のルーフ外しが正直現実的ではないのに比べると、ちゃんと「使える」オープンカーだ。しかもハードトップなので閉めれば静粛性も防犯も安心。スペシャリティさあふれる軽オープンスポーツなのだ。
弱点ではないが、イジって走りの性能を高めるとなると他モデルが有利なのも事実。パーツも多くなく、そもそも残されたキャパシティがそれほど大きくないので、イジったから化けるということはない。
イジりがいなら「スズキ・アルトワークス&ターボRS」
■コスパ:★★★
■チューニングの選択肢:★★★
■ポテンシャル:★★☆
イジりがいがあるのはアルトワークス&ターボRSだ。ECUチューンも可能で、タービン交換による大幅なパワーアップが可能。チューニングパーツも豊富で、もともと持っているポテンシャルも高く、それを引き出せば軽とは思えぬ走りを実現する。その実力はラジアルタイヤで筑波サーキット1分8秒台と、「スイフトスポーツ」と大差ないタイムを出せてしまうほどなのだ。
そして室内の広さも特筆モノ。大人4人が普通に乗れる。リヤに関してはトランクは広くないが、後席足元の広さはスイフトスポーツ以上とも思えるほどで、使い勝手は抜群。
オートマではなくAGSが設定されるのも特徴。マニュアルと同様のミッションをオートクラッチとオートシフトで動かしているので、シフトのタイムラグを感じる。しかし、つながってしまえばロスが少ないので、高速道路の燃費向上にも期待が持てる。タイムラグもECUチューンでかなり改善することが可能だ。
軽を超えたパフォーマンスの「ホンダS660」
■コスパ:★☆☆
■チューニングの選択肢:★★☆
■ポテンシャル:★★★
圧倒的な素材であるのがS660。ミッドシップに高出力なターボエンジンを搭載し、その走りは普通にスポーツカーとして一流だが、泣き所としてはクルマもパーツも高額なところか。インタークーラーやオイルクーラーなどのパーツがリリースされているが、HKSの水冷式オイルクーラーは約30万円。同じくHKSのインタークーラーは約41万円とびっくり仰天価格でもある。
ミッドシップに詰め込まれたエンジンは熱的に厳しく、それをクーラントで冷却する水冷式のインタークーラーにすることで、別世界のパワーを獲得。さらに走りをブラッシュアップできる。コストは掛かるが、そういった魅力に満ちているものこのクルマの良さのひとつでもある。
荷室は実質ゼロ。ソフトトップのルーフは外したら丸めてボンネットに格納しなければならないなど、不便さもあるが、それと引き換えに得られる楽しさも大きいのがS660なのだ。