シリーズを代表するロングセラーの40系が登場
1960年には2度目のフルモデルチェンジを受けて「ランクル」3代目の「40系」に移行しました。20系の次が30系でなく40系となったのは、20系のワイドラインアップが充実しすぎたために30系も使用されていたからでした。ワイドで充実したラインアップはこの40系も同様で、3種のホイールベースでスタートして、後にフレームごと300mm延長したスーパーロング(2950mm)も登場しています。またボディタイプも、当初は幌タイプのみでしたが、すぐにバンやピックアップも加えられています。
その一方でエンジンは当初、125psにパワーアップされたF型のみでしたが、こちらには後に、ディーゼルエンジンが加えられて大きな話題となりました。まずは輸出モデルに3.6L直6のH型ディーゼルエンジンを搭載した「HJ45」が登場。その翌年には国内モデル用に3L直4のB型ディーゼルエンジン搭載モデルの「BJ40/BJ43」が登場しています。おりしも国内では、第四次中東戦争によって第一次オイルショックが勃発していたために、3.9L直6エンジンの低燃費は問題視されるようになっていましたが、そんな危機感を一掃する明るい話題となりました。
70系を経てビッグファミリーに成長
ジープBJと20系は、それぞれ5年間の短いスパンでモデルライフを終えて次代にバトンを渡してきましたが、3代目の40系は、四半世紀にも及ぶロングセラーとなりました。そして1984年には4代目となる「70系」が登場します。
50系と60系が「飛び番」となっているのは、ロング系のモデルが事実上の別モデルとして登場したからで、50系は60系、80系、100系、200系と進化して、現行の300系へと進化していきます。また70系も「プラド」のサブネームを与えられたライト系とヘビー系に分化しながら90系、120系、150系へと進化していきました。その変遷を事細かに紹介していくにはスペースが足りません。
ただし、どんどんと豪華に、そして大きく重くなっていくロング系を例にとっても、最新モデルではエンジンをV8の4663cc(ガソリン)/4608cc(ディーゼル)からV6の3444cc(ガソリン)/3345cc(ディーゼル)にコンバートしダウンサイジング。またボディなどの軽量化も徹底的に追究するなど、時代に適合した進化を遂げています。
その一方で頑固なまでに変えていないポイントもあります。リヤサスペンションがリジッド式という基本スタイルはその好例です。これはクロスカントリー4WDにとっては肝とされる悪路走破性に関して、車軸式の方が有利とされているからです。もちろん、乗り心地を向上させるように改良は重ねてきましたが、譲れないところは決して譲らない。こうした技術者としての矜持こそが、「ランクル」が長く愛されてきた最大の理由かもしれません。