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歴代全部がなかなかのヒット作! 同門アルヴェルの陰で消えた「エスティマ」3代の歴史

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TEXT: 青山尚暉(AOYAMA Naoki)  PHOTO: トヨタ自動車/Auto Messe Web編集部

低床・低重心化で走りが進化した「3代目エスティマ」

 そしていよいよ、エスティマの生涯をまっとうすることになった3代目が2006年に登場。2020年に生産中止となるまでの14年間、造り続けられることになる。3代目エスティマ最大の進化のポイントは低床化、低重心化である。室内の広さでは当時のアルファードに敵うはずもなかったのだが、低重心化によるトヨタの高級セダン並みの走りが実現できたという点では、こちらに軍配が上がる。

低重心化を徹底した3代目エスティマ

 エンジンは2.4L直4、3.5L V6、そしてハイブリッドを用意。シートは7/8人乗りの2列目キャプテン、ベンチシートを揃える。最大の特徴は、今もアルファードやノア&ヴォクシーに継承される2列目キャプテンシートのスーパーリラックスモードのシートアレンジだ。キャプテンシートを中寄せスライドし、ロングスライドさせることで、2列目席に、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で最大800mm近い膝周り空間が出現。その広さは圧巻と言えた。

キャプテンシートのスーパーリラックスモード

大幅に進化した2016年ビッグMCモデルは今でも買う価値あり!

 そんな3代目エスティマが大きく進化したのが、3代目が登場して10年目となる2016年6月のビッグMCモデルだ。フロントグリルの変更、ミニバン初の2トーンカラーの設定、先進運転支援機能のトヨタセーフティセンスCの全車標準装備のほか、エンジンは2.4L直4、2.4Lエンジン+2モーターのハイブリッドに集約。「女性に魅力的に映る」をテーマとした、以前あった女性誌「VERY」とコラボした女性仕様を「スマート」グレードとしてラインアップしたのもニュースだった。

10年目のビッグマイチェンで大幅にアップデート

 すごいのは、エクステリアにも手が入れられていること。年々厳しくなる安全基準に適応し、歩行者保護を実現するため強く傾斜したボンネットデザイン、フロントフェイスを左右フェンダーとともに刷新。まったく違和感ないまま、一段と先進的で精悍かつ今風のルックスへと進化していたのだ。さらに内装もメーター、センターコンソールまわりをリフレッシュするとともに、これまでプラスチッキーだったインパネの縦面にステッチ入りの合皮を張り付け高級感を演出。MC前のユーザーが悔しがるほどの「最後の」進化を遂げていたのである。

高級感のあるインパネに

 もちろん、ビッグMCだから走りも大きく進化。最新のライバルたちに追従させるべく、ヤマハ製パフォーマンスダンパーをフロントに設定し装備した。その効果はフロントまわりのねじり剛性アップ、ステアリングを切ったときのリニアな応答性&ボディ振動の減衰向上などに直結していた。また、サスペンションやステアリングにも改良が施され、乗り心地やパワステの操舵フィールまで改善。当時、箱根の山道でも試乗したのだが、その走りの素晴らしさや操縦性の確かさに感動さえ覚えたほどだ。今エスティマの中古車を狙っているなら、2016年6月に行われたビッグチェンジ以降を選ぶことを推奨する。

フロントにヤマハ製パフォーマンスダンパーを装備

 そして2019年10月、惜しまれつつも生産終了。2020年3月に在庫をすべて売り切り、約30年に及ぶエスティマの歴史が幕を閉じたのである。とはいえ、2016年6月に行われたビッグチェンジ後にあったブラックルーフの2トーンカラーのエスティマは、今見ても古さなどまったく感じさせない、ミニバンにありがちな生活臭皆無のスタイリッシュさや存在感が際立つ。AC100V/1500Wコンセントを備えたHVモデルであれば、今なお、アウトドアや車中泊カーとしても立派に通用すると断言できる。

最終モデルは今でもアウトドアで活躍する

 

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  • 初代トヨタエスティマ
  • 初代トヨタエスティマのサイドビュー
  • 初代エスティマの室内空間
  • MRだった初代エスティマ
  • エスティマ・エミーナ
  • 2代目エスティマでFF化
  • 2代目エスティマの室内空間
  • 低重心化を徹底した3代目エスティマ
  • キャプテンシートのスーパーリラックスモード
  • 高級感のあるインパネに
  • 10年目のビッグマイチェンで大幅にアップデート
  • 最終モデルは今でもアウトドアで活躍する
  • フロントにヤマハ製パフォーマンスダンパーを装備
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