中古車のタマ数・状態・相場がいま一番お買い得なNCロードスター
1989年の初代NA型から、NB、NC、NDと歴史を重ねてきた「マツダ・ロードスター」。いずれも名車と呼ぶにふさわしいクルマだが、歴代でもっとも大きく重く進化した3代目「NC型」ロードスターだけは異端児扱いで、中古車価格も100万円以下から選べるお得なプライスとなっている。ちょっと大柄だけれども、走りを楽しむなら選択肢としてはアリだ!
2Lエンジンを積み歴代でもっとも重くなった
「人馬一体」をキャッチフレーズに、軽量ボディに扱いやすいエンジンを組み合わせてきた歴代ロードスター。そのなかで、魔が差したのか、なにをどう勘違いしたのか、大幅にボディが大きくなり、ホイールベースも延長したのがNC型(2005年~2015年)だ。
エンジンもNB型までの1600/1800ccから2000ccにアップ。車重は+20kg程度という微増のグレードもあるが、全体的に見ると70kgほど重くなり、明らかにハンドリングは大柄なものとなった。
その路線が失敗だったことを認めるかのように、現行モデルのND型はボディもホイールベースも短縮し、エンジンも1500ccで登場。1tを切る軽さを売りとして販売が始まったのだ。
単体で見ればきわめて出来の良いFRスポーツ
そんなNCロードスターは、中古車相場が高騰する現在ではハッキリ言って安い。これは狙い目なのだ。前項では、さんざんネガティブな部分を述べたが、それはあくまでもNA/NB/NDロードスターと比べての話である。NC単体で見れば、よく出来たシャシーを持つFRスポーツであることは事実なのだ。
RX-8と同系統のシャシーは、ダブルウイッシュボーン/マルチリンク式サスペンションでしなやかに動く。エンジンは決してパワフルではないが、2000ccなりのトルクはあるのでハイグリップタイヤを履かなければパワーオーバーステアに持ち込むことも可能。となると、カウンターステアを当てるシチュエーションも現れやすく、ドライビングスキルを磨くのに適しているのだ。
タイヤサイズも16インチが使用でき、タイヤのコストも抑えられる。エンジンはこれまでのロードスターにならって、アクセラなどと同系の汎用的なものなのでパワーもトルクも普通。ゆえに壊れにくい。だからこそ、存分に走り込んで練習したい人にはピッタリなのである。
ちなみに2008年末のマイナーチェンジ後の「NC2型」と呼ばれるモデルからエンジンが改良。レブリミットが500rpm上がり、フィーリングもよりスポーティなものになっている。
壊れにくいのでひたすら走り込むのに最適
NCロードスターのチューニングによる上げ幅については、正直あまりない。もともとNA/NBに比べてチューニングが流行った型ではなかったこともあり、それほどラインアップされているパーツが多くないのだ。それでもサスペンションやLSDから、吸排気パーツ、純正ECU書き換えチューンも可能。パーツの選択肢は多くないながらも、ひと通りチューニングはできるので、好みのカスタマイズも可能だし、サーキットでたくさん走るタフな仕様に仕上げることも可能だ。
今でこそ60万円ほどから購入できるが、数年後には100万円は軽く突破し、新車価格を超えるような日が来てしまうかもしれない。大半の人は「そんなこと起きない」と言うが、シルビアやER34がここまで高騰することを予見していた人もいないわけで、NCロードスターも大幅に高騰する可能性は十分にあるだろう。