競技ベースモデルも続々と登場した’90年代ネオクラ軽自動車たち
手ごろなボディサイズや維持費のリーズナブルさが影響し、サーキットでも人気が高い軽自動車のスポーツモデル。乗ったことがない人からは「でも軽でしょ?」と侮られがちだが、普通車も顔負けのポテンシャルを秘めたモデルも少なくないのだ。そんなナメてかかると痛い目をに遭いかねない、激速の軽自動車をピックアップしてみよう。
史上最速の軽自動車との呼び声も高かった!
スズキ・アルトワークスR/HB21S型
まずは旧規格アルトワークスの最終型であるHB21S。約700kgのボディに64psを発揮するK6A型ターボを搭載し、高い戦闘力で生産終了から25年が過ぎようとする現在でも、サーキットの草レースなどで根強い人気を誇っている。また完全な受注生産ではあるものの競技に向けた『アルトワークスR』も存在し、鍛造ピストン/ハイカム/ハイフロータービン/専用ECUなどで実測80ps、クロスミッションまで装備し「史上最速の軽自動車」との呼び声も高い。ただし台数は100にも満たないと言われており、現車を見る機会すらほとんどないのが実情だ。
ラリーやダートラで誇り高き戦績を残す!
スバル・ヴィヴィオ/KK4型
過給器の付いた旧規格ではスバル・ヴィヴィオRX-Rも激速を誇った1台だ。搭載する4気筒のEN07型エンジンにはスーパーチャージャーを組み合わせ、豊かな低速トルクを活かし軽量なボディを力強く加速させた。加えてライバルにはない4輪独立懸架サスペンションが高い路面追従性を発揮し、サーキットはもちろんラリーやダートトライアルでも数々の記録を打ち立てている。なお競技ベースの『RX-RA』はクロスミッションや徹底した軽量化が施され、WRC(世界ラリー選手権)でクラス優勝の座を勝ち取ったことも知られている。
フロントミッドシップで扱いやすさが魅力!
スズキ・カプチーノ/EA11R・EA21R型
旧規格の『ABCトリオ』として有名な3車種からは、FRの駆動方式を採用したカプチーノを推したい。エンジンは前期型がF6A型で後期型がK6A型と異なるが、どちらも自主規制ギリギリの64psでチューニングのデータも豊富である。ボディが690~700kgと軽いうえ重量配分も51:49と理想に近く、MRレイアウトのビートやAZ-1よりは扱いやすいという声も多い。最初に紹介したHB21Sアルトワークスと同じく、今もサーキットで見かける頻度が高い車種だ。
F1テクノロジーを継承したMTRECを搭載!
2代目ホンダ・トゥデイ/JA4型
NAの旧規格から選ぶならJA4トゥデイ。MTREC(エムトレック)と名付けられたエンジン制御システムで、標準装備の3連スロットルがレーシングカーのように鋭いレスポンスを発揮する。エンジン型式はビートと同じE07A型だがパワーは64psから58psにデチューン。それでもNAでは群を抜く戦闘力でスプリントレースから耐久レースまでを席巻し、レースによってはトゥデイ専用クラスが設けられているほどだ。なお車重はミッドシップのビートより80kgほど軽いうえ、走行風の取り入れや熱の放出もトゥデイが有利といわれている。
愛らしいスタイリングのオープン軽スポーツ!
ダイハツ初代コペン/L880K型
最後は新規格でL880Kコペンだ。ピークパワーは64psと旧規格から変わっておらず、重くなったせいで速さはスポイルされたと思いきや、シャーシなどの進化で走りのポテンシャルは遜色ナシ。全国の有力プロショップが開発に力を注いだこともあり、旧規格ばかりだったサーキットの勢力図を大きく変えた。国内での販売が10年を超えており中古車を手に入れやすく、パーツが豊富なことも息の長い人気となっている理由のひとつだろう。