昭和ヤンキーカスタムを再現したハイトワゴンは会場で異彩を放つ
ドレコンが開催される聖地的な場所でありながら、誰でも気軽に遊びに来れる敷居の低さが人気の軽自動車オールスターイベント「KING OF K-CAR MEETING」。全国から280台が集まった会場で、ひと際異彩を放っていたoh my 街道レーサーなこの1台。オーナーのTさんは8時間半をかけて埼玉から岡山国際サーキットにやってきた。
23年前にバニングから大改造し往年の国光カラーをまとった
ベースとなったのは初代スズキ・ワゴンR(ド初期の2&1ドア)で、製作したのはなんと23〜24年前という。元々はカスタムオオフチ(Tさんがバニングカスタムでお世話になっていたショップ)製フルエアロが装着されたピンクのバニング仕様で、奥さんが気に入って乗っていたそうだ。
それをTさんがいじり始め、バニングからヤン車にしたら「こんなのいらない」とそっぽを向かれたそう。「だったら好きにさせてもらうよ」とカスタム熱が炸裂し、今のスタイルに行きついたという。
サイドビューを見るとワゴンRと分かるが、特徴的なロングノーズ(何とベースはGX71用クレスタのボンネット、しかもハコスカと同じ逆ヒンジで開く)、ケンメリ用を分割して取り付けた丸目4灯ヘッドライトに剥き出しオイルクーラー、ハコスカ用のチンスポを装着した街道レーサーの威圧感あるフロントフェイスは、ワゴンRの面影一切なし。
ハノ字をかいたネガキャンではなくポジキャンスタイルである理由
リヤバンパーをくりぬいて装着したコンビネーションランプは本物のハコスカ用で、大型のリヤウイングは社外のエスティマを流用。少し跳ね上がったデザインが往年のハコスカレーシングのイメージを投影している。
ただし、エンブレムがハコスカではなくR32GT-R用だったり、マフラーのエンド部をCBX400Fのヨシムラサイクロンに交換し、斜め出しにするなど完全な正統派ではないが、ちょっと抜け感がある玩具っぽさがいい。
ホイールはSSRメッシュの当時モノで、フロント7.5Jでリヤ9.5J。この極太ホイールにタイヤを引っ張り気味に組み込み、ポジキャン気味にセットしている。なぜキャンバーを付けないんですかと尋ねると、「昔の街道レーサーは付けていなかったし、あとは長距離を走るとタイヤがすぐ減っちゃうから」とTさん。
インテリアは内装をすべて取っ払い、その上で全体をホワイトにオールペン。赤のロールバーはなんとAE86用で、ドアの内張りにはステンレスパネルを貼り、助手席の前には3連メーターをレイアウトすることでレーシーな雰囲気に。ただし、メーターは配線されておらず、あくまでも演出のための小道具だという。
そのほか、コブラタイプのバケットシート/水野ワークス限定の小径ステアリング/ブタケツ・ローレル用サイドウインカー/ビタローニのミラー/ACのドリンクホルダー/水中花シフトノブなど、街道レーサーの定番アイテムが満載。往年のファンにはどれも懐かしい。
若い人には理解されないがこのスタイルは止められない!
内外装を含めてすべてのパーツはそのままでは付かないので、ワゴンRサイズに合わせて切った/貼った/伸ばしたの大改造。そして、大好きだったハコスカレーシングの高橋国光仕様のカラーリングにオールペンでフィニッシュした。苦労を重ねて納得できる仕上がりとなったワゴンRレーシングに、Tさんは愛着もひとしお。これまで3度オールペンをしたというが、スタイルは変えることなく維持し続けているそう。
「すべてはシャレ、完全な遊びです。ステッカーも当時モノのI LOVE SKYLINEのハート形をI LOVE WAGON Rとパロッて作り直したり、玩具という意味でTAMIYAを貼ったりして楽しんでいます。ただ、街道レーサーは目を引くし、年配の方には受けるんだけど、若い人には理解されない。時代ですかね。けど、このスタイルは止められません」と笑う。
ワゴンR以外にもバニング全盛期の昭和のハイエースや、シャコタンの現行ハイエースなども多数所有して楽しむTさん。カスタマイズマーケットではミドルエイジがまだまだ元気。年を重ねても楽しむ環境が整えば、日本の自働車文化はもっと楽しくなるはずだ。