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パワーアップもど派手なエアロも後まわし! チューニングの第一歩は絶対ブレーキだとプロが断言するワケ

R35GT-Rのブレーキング

エンジンパワーを求めることを否定しないが
ブレーキの強化は必要不可欠!

 チューニングと言えばパワーアップをまず先にやりたくなるもの。そりゃそうだけども、踏めるようになっても止まらなければ結局踏めなくて意味がない!! じつは速くするにはまずブレーキ強化から始めるのが正解なのだ。

クルマを止める力がなければアクセルも踏むことができない

 レーシングドライバーが猛然とストレートを加速し続けられるのは、その先で確実に止められる自信があるからだ。ストレートエンドで外から見るとハラハラするほど、コーナーに近づいてからブレーキを踏んでいるように見える。だが、彼らからすれば「う〜ん、もうちょっといけるけど、こんなもんにしておこう」というバッファ(余裕)を残している。とくにレース中は多めにバッファを残さないと、連続走行でブレーキもタイヤもパフォーマンスが毎周落ちていくので、その分の余裕を持たせている。

 予選ならば一発アタックなのでもっとギリギリを狙うが、たとえば現在のスーパーGTなら予選時間中のアタックチャンスは事実上2周ほど。数少ないチャンスでコースアウトして大幅にタイムを失うくらいなら、わずかでも減速を余らせたほうが予選順位としては有利なので、若干の余裕を残している。それほどまでに、止めることに自信が持てなければ、加速させることができないのだ。

クルマが速くなればブレーキの負担が大きくなる!

 そして、それらはちゃんと止まるブレーキシステムがあってこそのこと。プロでもブレーキシステムが貧弱で、いくらペダルを踏み込んでもなかなか強く減速できないようなブレーキでは、その分もっとバッファを残すことになる。つまりいくらパワーがあっても肝心のアクセルを踏めなくなってしまう。それはプロもアマチュアも同じだ。

 だからこそ、エンジンチューンの前にブレーキチューンすることをオススメしたい。クルマが速くなるとブレーキに掛かる負担は二次曲線的に上がる。ノーマルエンジンのときは「ちょっと止まらない?」くらいだったのが、ブーストアップすると「全然止まらない!!」となるわけである。そうなると怖くてアクセルが踏めなくなってしまう。つまり、なんのためにエンジンチューンをしたのかわからなくなってしまう。

ブレーキ強化のはじめの一歩はブレーキパッド交換から!

 そこでクルマを速くするなら、まずはブレーキパッドを交換することから始める。パワーアップすると同じストレートでも最高速が高くなるので、高速から素早く減速できる必要がある。そうなると必然的にある程度の初期制動(バイト=噛み付くという意味)が必要になる。ノーマルエンジンでは「ちょっと踏んだ瞬間に利きすぎだよぅ」と思うパッドでも、パワーアップ後だと「お、いい感じに止まる!」と感じられるのである。ある程度初期制動があるモデルなり、強く踏み込めばそれに合わせて瞬時に利きが高まるようなパッドが必要になるというワケだ。

高性能ブレーキフルードでもダメなら
キャリパー&ローター交換で対策する

 次にフルードもスポーツ走行を前提にしたタイプに入れ替える。ブレーキへの負荷が増えるとキャリパー内の温度が上がり、フルードが高温にさらされる。ブレーキフルードは沸騰してしまうとベーパーロックが起きて、ブレーキの利きが弱くなってしまうので、沸騰しにくいスポーツフルードに入れ替えるのだ。

 それでも自信を持ってクルマを止められないようであれば、ブレーキシステムの変更をオススメする。ブレーキキャリパー自体をスポーツ品に交換するワケだ。その場合、多くのモデルで同時にローターも大径のものになる。そもそも大きなローターの方が制動力は出しやすい。スポーツキャリパーの多くは対向式と呼ばれる両サイドからパッドを均一に押すことで、パッドの面積をフルに活用して強い制動力を出すことができる。要はローターが大きく、パッドも大きくなることで、連続周回しても発熱しにくくなり、安定した利きを手に入れることができるのだ。

【結論】パワーアップするならブレーキとタイヤの強化は必要不可欠!

 要するにしっかりと止められれば、不安なく加速させられる。せっかくのパワーを使い切るには、まずはブレーキの強化が重要なのだ。そして、忘れちゃいけないのがタイヤ。どんなにブレーキを強化しても、タイヤのグリップがなければタイヤはロックするだけ。アクセルを踏んでも空転するだけ。タイヤもグリップ力が高く、新しいものを履くように心掛けてもらいたい。

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