好きが高じてレーシングドライバーに転身
幼少期のころ、レースゲームでお気に入りのクルマをチューニングし、数々のライバルを倒し、「自分も大人になったらこのクルマの実車でレースがしたい!」と思った人は多いはずだ。
そんなクルマ好き少年ならば誰しも思い描く夢を実際に具現化したのが、今回紹介する三菱ランサーエボリューションIIIのオーナーの岡田 衛選手。2022シーズンのスーパー耐久でランサーエボリューションXをドライブするe-motorsports出身のドライバーです。
ランサーエボリューション(以下:ランエボ)が大好きという岡田選手に自身のエボIIIのこだわりやモータースポーツ活動をする喜びを語って頂きました。
ランエボが好きになったキッカケ
幼少期からクルマが大好きだったという岡田選手。ランエボが好きになったのは父の影響が大きかったそうです。
「父が三菱パジェロに乗っていた関係で、家にはラリーアートのビデオやカタログがありました。時間があればよく見ていましたね。ラリーで活躍するランエボの映像を見て好きになりました。それからプレイステーションのコリンマクレー・ザ・ラリーというゲームでよく遊んでいたんです。もちろんコリンマクレー氏の名を冠しているのでスバル・インプレッサが主役なのですが、自分はランエボでずっとプレイしていました」
こうして芽生えた岡田選手のランエボ愛、しかし当時映像で見たりゲームでプレイしたりしていたのはエボⅤ、自身が現在所有しているエボIIIが好きになったのは別のキッカケだったそうです。
「ゲームだけでなく、クルマ漫画にもハマりました。そこで頭文字Dを読んでエボIIIが好きになったんです。元々ランエボが好きというのもありますが、作中で主人公に唯一勝利したクルマですから!」
そんなきっかけもあり、エボⅢが一番好きなクルマとなった岡田選手。さまざまなレースゲームをプレイしてはゲーム内でエボIIIをチューニングし、ライバルに勝利することを楽しんでいました。
将来を考える高校生になるとエボⅢを購入することを具体的に考え始めます。
「すでにスポーツカーの中古車市場価格が上がり始めていた時期だったので、大学へ進学せずに就職して購入資金を貯めようと思い、就職という道を選びました」
WRCのターマックテストカーを目指して
就職してからは毎日のように中古車サイトをチェックしていたとのこと。現在の愛車であるエボIIIを手に入れたのは社会人1年目の夏だったそうです。
「イエローかホワイトの個体を探していたのですが、ノーマル状態でキレイなホワイトの個体を発見してコレだと思いました。競技ベースグレードのRSなのですが、オプションのエアコンが付いていて、ハードな走行をしていた感じもなく、『競技ベースグレードを普通に乗ったらカッコいいのでは?』と思ったのも購入を決めた理由です」
こうして手に入れたRSグレードのエボⅢ。“WRCマシンのテストカー”をイメージして岡田選手はカスタマイズしていきました。
「あまり大幅にカスタマイズするのは好みではないので、ターマック仕様のテスト車をイメージしてカスタマイズしています。一番のポイントはホイールで装着しているのは、現在絶版となっているエンケイのターマックエボです。当時のWRCマシンと同じデザインのホイールで気に入っていて、現在装着しているものはリペアもしました」
当初はこのエボIIIでジムカーナやサーキット走行もしたそうですが、あまりハマらなかったとのこと。
「スポーツ走行がつまらないと感じた訳ではないのですが、ランエボでスポーツ走行している人は第三世代(VII~IX)が中心で速くて比べにくかったですし、大切な愛車に何かあったら……というのが怖かったですね。また、このころはグランツーリスモ5や6で遊んでいて、オンライン対戦が盛り上がってきた時期だったので、そちらの方で競走欲が満たされていました」