生産終了から20年経っても競技ではいまだ現役
1989年に登場した2代目MR2、型式SW20型。1999年に販売を終了しましたが、現在でも人気が高くジムカーナの大会でもその姿をよく目にします。今だに競技シーンで現役な理由はどこにあるのか? どんなモデルだったのか振り返りつつ、その理由を探っていきましょう。
偉大な初代のパッケージを受け継ぎ誕生
バブル真っ只中に登場した2代目MR2。その名が表す通りミッドシップの2シーターというパッケージはそのままに、エンジンは先代の1.6Lから2.0Lに排気量を拡大しパワーアップ。ボディサイズも全長は220mm、全幅は30mm拡大され、内装も豪華になりました。
バブル期に登場したモデルだと思わせる、新たなメカニズムも採用されいます。新開発の電動油圧パワステ(エンジンではなく電動モーターで油圧ポンプを駆動させる)や、世界初のステアリング連動フォグランプなどが装備されました。今でこそ走りのベース車というイメージが強い2代目MR2ですが、トランクルームの拡大やエクセーヌと本革を使用したスポーツシートの設定、音質の高さが自慢のスーパーライブサウンドシステムなど、デートカーとしての側面も持ち合わせていました。
10年の間に4回の改良が施された
約10年という長きに渡り販売されていた2代目MR2、その間4回の改良が行われました。1991年末に行われた最初の改良で登場した2型と呼ばれるモデルは、おもにジオメトリの変更やブレーキの大型化など、足まわりを中心にバージョンアップ。ピーキーと呼ばれた特性は影を潜めるようになりました。
1993年に登場した3型では大幅に進化。そのなかでの最大のトピックスはエンジンです。ターボは最高出力225psから245psへ、NAも165psから180psへとバージョンアップ。また、「スポーツ走行で武器になる」と言われたスポーツABSも設定されました。そのほかデザインの小変更が行われ、より洗練されたスタイリングになりました。
1996年には4型へと進化。メカニズム的な変更はあまり少なかったものの、スポーツABSやエアバックなどが標準装備となったほか、灯火類の小変更が行われました。
そして1997年に最終進化系の5型が登場。角度調整式ウイングが採用され、ホイールデザインの変更などが行われました。そしてNAは連続可変バルブタイミング機構VVTiを採用し200psへとパワーアップ。この最終型のNAは歴代最高のバランスと言われていて、中古市場でもターボ並みに人気がある状況となっています。
国産最速の素質は持っていた
こうして進化してきた2代目MR2ですが、現在でもジムカーナを中心とした競技ベースマシンとして人気の高い1台です。その理由はミッドシップ&ターボというパッケージにあります。トラクションのかかりやすいミッドシップは、ストップアンドゴーの多いジムカーナでは優位な駆動方式です。そして2.0Lという小排気量ながら、245psを誇るターボパワー。このようなパッケージは、ほかに探しても存在しませんし、今後も出てこないでしょう。
もっとも、2代目MR2にも走りの面で欠点がないわけではありません。初期型ではピーキーと言われた特性は完全には直っていないですし、高い剛性を誇るボディはサイズの割に当時としては重たくなってしまいました。また最後まで5ナンバーサイズであったため装着できるタイヤ幅にも限界があります。「タラレバ」にはなってしまいますが、3ナンバーボディサイズまで車幅を増やし、リヤサスペンションだけでもダブルウィッシュボーンにできれば、当時の国産最速になり得た……かもしれません。