ドイツの独立系スポーツカー・ブランド「ヴィーズマン」
近頃、復活スーパーカーの話題で熱いといえば、夏のぺブルビーチであの「デロリアン」が復活するんじゃないかという、もっぱらのウワサ。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで名を馳せた超メジャーなデロリアンだが、マニアならEV復活モノで忘れてならないのは、やっぱりこちらの話題じゃないか? それがドイツの独立系スポーツカー・ブランド、「ヴィーズマン」だ。
クラシックな雰囲気のスポーツカーを独自に製作
ことの起こりは1987年、クラシックなスポーツカーを現代のコンポーネンツを用いて作れないか? と模索したマルティンとフリードヘルムのヴィーズマン兄弟が、自身のメーカーを立ち上げたことだ。翌年、オランダ国境に近いドイツ西部で行われるエッセン・モーターショーで、彼らは最初のプロトタイプを発表。その後何年にもわたって改良を重ね、ついにバックヤードビルダーから自動車メーカーとして、「MF30」と「MF3」を90年代初頭、発売するに至った。
Z3登場以前の欧州で人気を誇ったロードスター「MF3」
とくに後者MF3は1993年にデビューし、BMW M3の「S54」直6エンジンをフロントミッドシップマウントした、ロードスター・ボディのピュアなミドルウェイトスポーツとして注目を浴びた。ちょっとTVRを思わせるモダンなマスクにロングノーズのプロポーション、ACコブラのような抑揚のついたボディラインも魅力的。それでいて1100kg少々の軽さに、BMWメイドのNAエンジンという組み合わせが新鮮だった。まだなにせZ3ロードスター以前、ユーノス・ロードスター以降の世の中なので、欧米サイドで盛り上がったのもむべなるかな。ようはファミリア・ベースの初代NAロードスターより、格段にセクシーだったというわけだ。
活動停止から8年、ピュアEV「サンダーボール」で復活
その後、ヴィーズマンは2006年にV8の「MF4」、V10の「MF5」を立て続けに登場させるが、ダウンサイジングターボ時代はこの小さなスポーツカーメーカーに不遇の時代となった。2014年に活動停止後、英国の投資家の手に渡り、近年になってピュアEVとしてMF3をリバイバルさせるプロジェクト、「サンダーボール」を発表したのだ。
すでに公式サイトでオーダーを受け付けており、公開されているスペックによれば、アルミニウム・スペースボディで車重は1775kg、パワー&トルクは680ps/1100Nmで、0-100km/h加速は2.9秒とのこと。800Vのハイボルテージ・アーキテクチャに92kWhのバッテリーを組み合わせ、500kmの走行レンジを実現しているという。
見た目にはしかも、MF3そのものだ。MF3がデロリアンほどアイコニックだったかどうか? というのがツッコミどころかもしれないが、ライトウェイトEVの先駆的存在として見逃せない一台であることは確かだ。