積載性と走破性は合格、車中泊もこなせる
さて、そんなアリアは、SUVなのだから、アウトドアでも威力を発揮してくれるのだろうか。少なくとも、アウトドアの荷物の積載性(エクストレイルのような撥水、防汚性の素材は使っていないが)、最低地上高180mmによる走破性は合格と言っていい。
装備的には、HVやPHV(PHEV)にあるようなAC100V/1500Wコンセントは用意されていないから、アウトドアやキャンプシーンでクルマを電源車として使うことはできない(V2H機器によって家庭への電源供給は可能)。
仮眠、車中泊対応についてはどうだろう? 後席を倒すことで、後席使用時でも広大なラゲッジフロアの奥行きは、身長172cmの筆者が「斜めになれば」横になって寝られるスペースだ。ラゲッジフロアと倒した後席部分に段差はないものの、後席部分にわずかな角度がついている。だが、上半身が持ち上がることで、むしろ逆流性食道炎対策になると考えれば、どうということはないだろう。
では、斜めにならずに筆者が横になるのは不可能なのか。なんとかなります。後席足元部分に、後席を格納したフロアと同じ高さのモノを置くなどして、クッションマットを敷けば最大1901mm(前席背後までという意味でフロア長ではない)という後席格納時の荷室長を活かせることになる。
アウトドアフィールド選びは充電スポットの近さがポイント
注意したいのは、当たり前だがアリアはBEVであり、PHV(PHEV)のような、発電のためのエンジンを積んでいないこと。アウトドアやキャンプを楽しむ際は、直前にバッテリーを充電し、できれば充電スポットが近い場所のアウトドアフィールドを選ぶとより安心だ。近所の買い出しなどでアリアを走らせ、止めたアリアがパワーONでも静かなことをいいことに、エアコンONで室内でくつろぎ、スマホやタブレットの充電をしまくり、オーディオをかけっぱなしにしておくなどすると、やはりバッテリーの減りが心配だからである。
また、アリアの純正アクセサリーとして、セルスター工業製のDC/ACインバーター(アリアの12V電源を家庭用のAC100Vに変換する機器)も用意されているが(価格は17万3250円!)、いかに大容量バッテリーを積んでいても限りがある。そのため、駆動用・発電用のエンジンという強い味方のいるHVやPHV(PHEV)のAC100V/1500Wコンセントのように、家電品などを接続してガンガン使うのは要注意。もし、DC/ACインバーターをアウトドアシーンで有効に使うとすれば、やはり施設内、または近所に充電スポットがあることがセーフティポイントとなるだろう。
とはいえ、BEVのSUVならではの静かでスムースな走りでアウトドアに向かうドライブは、プロパイロット2.0による運転支援もあって安心かつ快適で爽快。排気ガスを出さないから、大自然の澄んだ空気を汚さないというメリットもある。電気の使い方だけ配慮すれば、アリアで行くアウトドアも悪くない(かなり目立つはずだが)。