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後席もラゲッジも最高だけど電源がちょっと残念! 日産アリアをアウトドア目線で調べてみた

正式に「一般発売」が始まったばかりの日産アリア

ロングホイールベースによって先進的なスタイルと広い室内空間を実現

 日産から登場した、EV専用プラットフォームを採用した大空間BEVが「アリア」。この5月12日、ついにカタログモデルの66kWhのバッテリーを積む「B6 2WD」が正式に一般発売されたところだ。

 ボディサイズは全長4595×全幅1850×全高1655(プロパイロット2.0装着車1665)mmで、ホイールベース2775mm。日産MクラスSUVの「エクストレイル」は同4690×1820×1740mmでホイールベース2705mm。つまり、エクストレイルに対して全長が95mm短く、全幅は30mm広く、全高は65mm低いプロポーションとなる。ここで注目すべきはホイールベースで、全長が95mm短いにもかかわらず、70mmも長いところ。そして前後オーバーハングも極端に短い。それが先進感に満ちた、魅力的なスタイリングを醸し出していることは間違いない。

大自然のなかのラウンジにもなる余裕の後席

 アリアのBEVとしての大きな特徴が、先進感溢れるインテリア。12.3インチのフルデジタル液晶メーターに連続するタブレットのように操作できる12.3インチのセンターディスプレイや、木目調パネルにパワーONで浮かび上がる、ハブティクスイッチと呼ばれるオートエアコンの静電式タッチスイッチも新鮮だ。

 しかし、なんと言ってもその広大な室内空間が魅力だ。前席足元は、エアコンユニットなどを小型化してボンネット内方向に移動させたことで、サイドスルーも楽々容易なほどすっきり広々。さらにエアコン吹き出し口やUSBソケット、シートヒーターまで完備するフラットフロアの後席は、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で膝周り空間に300mmものゆとりがあるほどだ。つまり、例えばアウトドアで後席が大自然のなかの特等席、ラウンジにもなりうるというわけだ。

奥行きのあるラゲッジは使い勝手が良好

 ラゲッジルームも広い! 開口部地上高740mm(段差なし)、フロア奥行き970mm、フロア幅1100~1390mm、最低天井高670mm(フロアボードを外すことで拡大可能)。床下全面に浅い収納があるのも使い勝手がいい。ちなみにエクストレイルは開口部地上高730mm(段差なし)、フロア奥行き900mm、フロア幅1100mm、最低天井高785mm。床下収納あり……と、とくにアリアは荷物の積載性で威力を発揮する奥行き方向の長さに優位性がある。

積載性と走破性は合格、車中泊もこなせる

 さて、そんなアリアは、SUVなのだから、アウトドアでも威力を発揮してくれるのだろうか。少なくとも、アウトドアの荷物の積載性(エクストレイルのような撥水、防汚性の素材は使っていないが)、最低地上高180mmによる走破性は合格と言っていい。

 装備的には、HVやPHV(PHEV)にあるようなAC100V/1500Wコンセントは用意されていないから、アウトドアやキャンプシーンでクルマを電源車として使うことはできない(V2H機器によって家庭への電源供給は可能)。

 仮眠、車中泊対応についてはどうだろう? 後席を倒すことで、後席使用時でも広大なラゲッジフロアの奥行きは、身長172cmの筆者が「斜めになれば」横になって寝られるスペースだ。ラゲッジフロアと倒した後席部分に段差はないものの、後席部分にわずかな角度がついている。だが、上半身が持ち上がることで、むしろ逆流性食道炎対策になると考えれば、どうということはないだろう。

 では、斜めにならずに筆者が横になるのは不可能なのか。なんとかなります。後席足元部分に、後席を格納したフロアと同じ高さのモノを置くなどして、クッションマットを敷けば最大1901mm(前席背後までという意味でフロア長ではない)という後席格納時の荷室長を活かせることになる。

アウトドアフィールド選びは充電スポットの近さがポイント

 注意したいのは、当たり前だがアリアはBEVであり、PHV(PHEV)のような、発電のためのエンジンを積んでいないこと。アウトドアやキャンプを楽しむ際は、直前にバッテリーを充電し、できれば充電スポットが近い場所のアウトドアフィールドを選ぶとより安心だ。近所の買い出しなどでアリアを走らせ、止めたアリアがパワーONでも静かなことをいいことに、エアコンONで室内でくつろぎ、スマホやタブレットの充電をしまくり、オーディオをかけっぱなしにしておくなどすると、やはりバッテリーの減りが心配だからである。

 また、アリアの純正アクセサリーとして、セルスター工業製のDC/ACインバーター(アリアの12V電源を家庭用のAC100Vに変換する機器)も用意されているが(価格は17万3250円!)、いかに大容量バッテリーを積んでいても限りがある。そのため、駆動用・発電用のエンジンという強い味方のいるHVやPHV(PHEV)のAC100V/1500Wコンセントのように、家電品などを接続してガンガン使うのは要注意。もし、DC/ACインバーターをアウトドアシーンで有効に使うとすれば、やはり施設内、または近所に充電スポットがあることがセーフティポイントとなるだろう。

 とはいえ、BEVのSUVならではの静かでスムースな走りでアウトドアに向かうドライブは、プロパイロット2.0による運転支援もあって安心かつ快適で爽快。排気ガスを出さないから、大自然の澄んだ空気を汚さないというメリットもある。電気の使い方だけ配慮すれば、アリアで行くアウトドアも悪くない(かなり目立つはずだが)。

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