人気車種だったMR2のDNAを受け継ぎ誕生
1999年にMR2の後継モデルとして登場したMR-S。それまでのクーペボディとは打って変わってオープンモデルのみとなり、MR2の後継とはいえ大きくキャラクターが変わったモデルと言えます。そこには世界的な大ヒットを記録した、ユーノスロードスターの存在がありました。
2代目で失われた軽快感を取り戻すために
コンパクトなボディに1.6Lエンジンを搭載していた初代MR2から、2.0Lへ排気量を拡大しボディサイズも5ナンバー規格ギリギリとなった2代目。バブルの影響もあり室内や各種装備も高級感のあるものに。結果として約10年間販売され続け、商業的に成功か失敗かと言われると微妙なラインではあります。大きくなったボディに豪華になった装備が与えられたことで、初代のような軽快感は失ってしまったとも言えます。
また、ピーキーな車両特性から操るのが難しく、危険なクルマと言われてしまうこともしばしばありました。そんな2代目での反省点を意識したのか、MR-Sはコンパクトかつショートオーバーバングなオープンボディに、ハイパワーではないものの実用トルクに優れる1.8Lの1ZZ-FEエンジンを搭載して登場しました。
MR-S誕生のきっかけとなったロードスター
MR2の後継モデルということで、ミッドシップレイアウトを採用するのは自然な流れとも見て取れますが、なぜオープンカーとなったのか? そこには1989年に登場し、大ヒットを記録したユーノスロードスターの存在があります。
当時オープンカーと言えば少量生産で高価かつ、メンテナンスや維持に手間がかかるモデルばかり。しかしマツダは既存のコンポーネントをうまく使うことで、安くて壊れにくいオープンカーであるユーノス・ロードスターを開発。これが世界的な大ヒットとなり、「手ごろなオープンカーは需要がある」と各メーカーが気づきます。これにトヨタも影響を受け、MR-Sへと繋がっていったのです。
1トンを切る軽量ボディで走る楽しさを提案
「ライトオープンスポーツ」とトヨタが銘打ったMR-Sは1トンを切る車重(初期型)を実現。しかし、エンジンなどは既存のユニットをうまく活用しています。登場当時はトップグレードでも200万円を切る価格設定でした。
また、目新しいメカニズムとして2000年にはシーケンシャルトランスミッションのSMTを採用。これはクラッチ操作なしでシフトの操作ができるという機構で、現在のATやDCTのようなシステムではなく、既存の5速MTと制御ユニットを組み合わせた、当時としては画期的なシステムです。このちょっと手の込んだミッションは、通常のMTグレードより7.5万円高で販売されました。