どこまで気を付けても止まるときは止まるのが旧車
どんなに定期的にメンテナンスしていても、パーツの寿命が尽きたときには立往生してしまうのが旧車という乗り物の宿命だ。いつ、どこで止まるか分からないので、そのときに備え、旧車オーナーは三角表示板と発煙筒と消火器を基本として、工具やパーツ類も積み、JAFと保険のロードサービス特約も必須としてチョイスするなど、じつにさまざまな策を講じている。
出先の工場でもスペアパーツがあれば対応できること多し
旧車ならではの緊急トラブル対策用スペアパーツの代表例を挙げると、ヒューズ、ワイヤー、デスビ、フィルターなどなど……といった感じになる。筆者の愛機である1974年式アルファロメオGT1600ジュニアはブレーキが弱点なので、今後、遠方に赴く際に、すでに4回も抜けてしまったブレーキのマスターシリンダーも積んで行こうかな? と思っているのであった。
スペアパーツさえ積んでおけば、路上修理はできなくてもトラブルが発生した場所の近くにある、現地の一般的な修理工場で対処できる可能性が高まる。これから旧車ライフをスタートさせようと思っている方は、自車の弱点となっているセクションの部品を積んでおくといいだろう。
クルマの国籍やタイプに合った工具を積んでおくこと
これは、実際に以前ディーノ関連のイベントであったことだが、クラッチワイヤーが切れてしまったディーノを参加者のひとりが乗って来ていたトランポ(206GTを積んできた)で最寄りのガソリンスタンドまで運び、そこでリフトを借り、別のディーノ・オーナーから提供された新品のクラッチワイヤーに交換するという出来事があった。
このときはメカに強い参加者がいて、筆者がアルファロメオGT1600ジュニアの車内にイタリア車のサイズに合う工具をたくさん積んでいたので、万事上手くいった。旧車で移動する場合は単独走行ではなく、ある程度の台数でまとまって走るほうが安心だといえるだろう。
仲間と一緒だとイザというとき路上復帰率が上がる
2台以上のクルマでヘンな走り方をすると、道路交通法で禁止されている共同危険行為に該当してしまうので注意が必要だ。先日、筆者の知り合いが和歌山まで空冷のフォルクスワーゲン10台くらいで連なって走ったとき、VWタイプ2(ワーゲンバス)のファンベルトが切れてしまい、名阪国道の路肩に停車してしまうというトラブルがあったそうだ。
持つべきものは友で、このときも別のVWオーナーから提供されたファンベルトの予備が適合したので、その場でオーナーが交換し、無事に路上復帰することができた。その作業途中にパトカーが来て、お巡りさんが「どーしましたか?」と言ってきたが、「エンジンが止まっちゃって……。あっ、でも、もうすぐ直ります」と返答したら「えっ? 直るんですか!?」と当惑していたそうだ。
昔は高速道路の路肩で修理していたものだけど……
また、これは筆者の大先輩による、いまよりも交通量が少なかったころの大昔のエピソードだが、高速道路でワイヤー(アクセルだったかクラッチだったかは失念)が切れてしまい、十分な幅のある路肩でジャッキアップしてワイヤーを自力で引き直したそうだ。
後続車に突っ込まれる可能性があり、事故防止のために高速道路上は道路交通法により駐停車禁止となっているので、やはり速やかにガードレールの内側に避難し、素直に救助を待つべきだ。命を失ってしまっては車載工具もスペアパーツも役に立たないので、あきらめるのがベストなのであった。ちなみに、車両の故障などにより、仕方なく高速道路上で路肩に停車したときは、ハザードランプや三角表示板、発炎筒などで後続車に合図するのがルールだ。
緊急時に安全に退避できるよういつも意識したい
緊急事態のリスクを減らすためには日頃の車両点検が必要となり、もしものときのために車載工具とスペアパーツも必須となる。だが、高速道路や一般道でいきなりエンジンが止まったり、ブレーキが抜けたときにも対処できるよう、つねに意識しておくことも重要だ。
心構えのアル、ナシが、中央分離帯寄りで停車してしまうか、左側の広い路肩に寄せられるか、に大きく関係するので、旧車で走る際はいつでも「ココでトラブったら、このように対処しよう」と思っておくことが大切である。筆者も気をつけて走りたいと思う。