206km/hというトップスピードをマークしたモンスターSUV
ランボルギーニが最終的に量産することに成功したオフローダーは、1981年に発表されたLM001をベースとした「LM002」だった。
1986年に市販されたこのクルマに搭載されていたのは、カウンタックQV用の排気量5167cc/V型12気筒エンジンであった。
LM002の車体は鋼管スペースフレームを基本構造体とし、そこにFRP製ボディパネルやアルミニウム製ドアを組み合わせたもので、車両重量は2.7トンに達していた。スゴイ重さだが、カウンタックQV用エンジンの最高出力が450psもあったので、リッター750m程度という劣悪な燃費を気にすることなくアクセルを踏み続ければ、206km/hというトップスピードをマークできたといわれている。
SUV界のスーパーカーとしてリリースされたLM002には、パリ・ダカール・ラリーへの参戦を目指して製作されたラリー専用マシンも存在しており、そのモデルを題材としたチョロQもラインアップされている。
発進すら難しかったLM002
ウルフ・カウンタックことランボルギーニ カウンタック LP500S ウルフ・スペシャル ♯1と、1988年式の5000QVをベースとし、細部に至るまで徹底チューニングした『イオタ』と呼んでいいスペックの白いカウンタックを愛用しているスペシャルショップ「アウトモビーリ ヴェローチェ」の岡戸栄一代表は、以前、LM002も所有していた。
「自分が所有していたのは最終型で、最高出力492psを誇るディアブロ・エンジン仕様のLM002 アメリカーナだったのですが、クラッチペダルを踏み込むとシートの上でお尻が後ろへズルっと動いてしまうほど重たかったですね。カウンタックもそれなりにクラッチが重いのですが、それとは比較にならないほどの重さでしたよ」とは、岡戸さんのコメント。とにかくクラッチペダルが重いので、平地ですら発進をするのが大変だったそうだ。
筆者もランボルギーニ LM002のクラッチペダルを踏んだことがあるが、蹴り倒すぐらいの勢いで踏んで7mmぐらいしか動かすことができなかった……。
ちなみに、LM(ランボルギーニ・ミリタリアの意)シリーズにはLM002の後継プロトタイプとして、フォルクスワーゲン製の排気量3590cc/ターボチャージド・ディーゼル・エンジンを搭載するLM003と、マリーニ・ランボルギーニ製パワーボート・オフショアクラス用のL804型V型12気筒エンジンを搭載したLM004が存在している。しかし、それらが製品化されることはなかった。
ランボルギーニ製ハイパフォーマンスSUVのDNAはLM002からウルスへと受け継がれたといえるので、いろいろ説明してしまったが、友人にウンチクを傾ける際は、チータ、LM002、ウルスのスペックを語れば十分であろう。