荷物の積載性や走破性の高さを両立したモデルを紹介
アウトドアに乗っていくクルマの選び方として、アウトドア&キャンプフィールドへの、整地されたアクセス性、そして主たる日常の使い勝手を考えると、なにも本格4WDやクロカンじゃなくても良さそう……というのは、あながち間違ってはない。そもそも、本格クロカンでしかたどり着けないような人気アウトドア&キャンプフィールドなど、少なくとも日本にはほぼないと言っていいからだ。
しかし、アウトドア&キャンプフィールドで通ぶれるクルマを所有し乗って行けば、やはりカッコいい。本気のアウトドア派に見られることになる。普通のセダンでは、そうした大自然のワイルドなシーンに似合うはずもないのである。
とはいえ、アウトランダーPHEV、RAV4 PHV、さらにはランドクルーザーといった本格的なSUVは、やはり高価。多くの人が、アウトドア用品やキャンプ用品にもお金のかかるため、できるだけクルマ購入の出費を抑えたいと思って当然だろう。
そこで、予算200万円前後で手に入り、しかも本格的な走破性やルックスを持つ国産新車を紹介したい。ポイントは、荷物の積載性や走破性の高さはもちろんだが、忘れてはいけないのが、アウトドア&キャンプフィールドは自宅からけっこう遠いところにあること。よって、高速道路や山道走行を快適に走り、こなしてくれる車種であることが重要だ。
トヨタ・ヤリスクロス
まず紹介するのは、ヤリスクロスのXグレード1.5Lガソリン車の4WDだ(写真はガソリンモデルのZグレード)。212万7000円で、最低地上高は170mm、4WDはRAV4にも使われているダイナミックコントロール4WDを用いている。
筆者はモーグル路など、さまざまな悪路の走行経験があるが、ヤリスクロスという車名から想像するより、はるかに本格的な走破性の持ち主なのだ。その走りはHV車と比べ軽快かつ安定感抜群で、4WDになると乗り心地も2WD以上に快適になる。
しかも、下から2番目のXグレード(実質的エントリーグレード)でも、全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール(ACC)やレーントレーシングアシストなどの先進運転支援機能をほぼフル搭載。ロングドライブ、高速走行も楽々安心安全だ。さらにラゲッジルームはアジャスタブルデッキボードを備え、高さのあるアウトドアやキャンプの荷物もどっさり入る。
後席が国産車として例外的な4:2:4分割のため、4人乗車でも長尺物も積載もOKと、じつに使いやすいラゲッジルームなのだから言うことなし。ベージュやグレイッシュブルーのボディカラーを選べば、さらに通っぽく見えるはずだ。
スズキ・クロスビー
アウトドアを楽しんだあと、気になるのが車内の汚れ。とくに、汚れた荷物を積むラゲッジルームのキズや汚れが心配でならない……というなら、クロスビーはどうだろう。HYBRID MVの4WDの価格は209万3300円。
フルハイブリッドではなくマイルドハイブリッドではあるものの、この価格でHVのクロスオーバーモデルを手に入れることはなかなかできないのだ。暑い時期のドライブでアイドリングストップしたとしても、蓄冷式エアコンのエコクール機能によって一定時間、冷風が出てくる。さらに、ISG=モーター機能付き発電機によってエンジンを微力ながらアシストしてくれるだけでなく、アイドリングストップからの復帰の際も静かで不快なショックなし。
4WDを選べばスポーツモードのほか、スノーモード、グリップコントロール、ヒルディセントコントロールまで備わるから万全だ。
そして何と言っても、HYBRID MZとMVは撥水加工シートが奢られ、また、HYBRID MZ、HYBRID MVの後席背面とラゲッジフロアは樹脂製の防汚タイプとなり、汚れを拭き取りやすく、キズに強い素材を採用。汚れているものや濡れているものも気兼ねなく積みこむことができるのだ。後席も広く、ラゲッジルームのアレンジも自在。タフな外観、メカニカルなインテリアの雰囲気もなかなかの本格と言っていい。
スズキ・ジムニーシエラ
しかし、200万円前後で手に入る最強の本格SUV、というか本格クロスカントリーモデルこそ、ジムニーシエラだろう。軽自動車のジムニーも走破性としてはクラス最強だが、ロングドライブに向くか? と言われれば、少し微妙。
その小型車版のシエラなら1.5Lエンジンを積み、よりゆとりある高速走行と登坂性能を発揮できる。駆動方式はもちろんスズキ自慢の信頼性ある、本格なパートタイム4WD。伝統のラダーフレームによって、クラス最強の走破性を誇っている。もっとも、ラゲッジスペースは軽自動車のジムニーと同容量、同寸法。
だが、2名乗車時の奥行き980mm、幅1300mm、高さ850mmもあるのだから、ふたりのアウトドア、キャンプには十二分と言っていい。ACCはなく、ただのクルコンのみだが、ないよりは高速走行で助かることは間違いないだろう。スズキはつい最近、やっとハスラーにスズキ初の全車速追従型ACCを追加装備したところで、今後、他車種への展開にも期待したいところである。
このほかにも、そのハスラー、タフトあたりの4WDも、軽自動車とはいえアウトドア&キャンプシーンに似合う通感あるクロスオーバーモデル(ボディカラー選びに注意)。どちらも意外だが、4WDのほうがしっとり重厚な乗り心地で上まわり、ターボであればロングドライブも快適にこなしてくれるに違いない。
車両価格は200万円を大きく切るから、アウトドア&キャンプ用の純正アクセサリーをどっさり!? 注文する余裕が生まれてくる楽しさもある。見た目のワイルドさならタフト、乗り心地ではハスラーが圧倒する。