価格高騰に拍車をかける旧車ブローカーの存在とは
先日、インターネットで旧車の販売価格をチェックしていて驚いた。なんと、フルレストアされた1986年式の「トヨタ・セリカXX 2000GTツインカム24」が税込価格1280万円で販売されていたのだ。 エンジン、トランスミッション、デフがオーバーホール済みで、ボディは全塗装済。走行距離も5万9000kmという見事な個体なのだが、いくらなんでも高いのでは? と思って腰を抜かしてしまった。
このクルマが2022年までどこに保管されていたのか、どういう理由で前オーナーが手放すことにしたのか、といった仔細は分からないが、ここ最近の旧車ブームに乗っかる形でオモテに出てきたことは間違いないだろう。
このセリカXXのみならず、相変わらずハコスカやケンメリも1000~2000万円級という高価で流通しているが、旧車はコレといった相場がそもそも存在しないこともあり、もはや言い値で売買されている状況だと言っていい。別の言葉で説明すると、旧車というだけで時価で売買されていると言えるが、どうやらその高価格取引の裏で輸出も視野に入れた旧車ブローカーが暗躍し、価格が高値で安定してしまうようなアクションや値付けをしているようだ。
ネットオークションを活用する旧車ブローカーが増えている
ブローカーとは、仲介人、仲買人のことで、売主と購入者の間における契約成立や売買合意に至った場合に紹介料という名目で売主から報酬を受け取っている人のことである。ここ最近のインターネットなどの普及により、ブローカー業も多様化してきており、展示場はないがストックヤードなどへ在庫車を集め、大手のインターネットオークションなどを介して販売活動を行っているケースも確認されている。
自宅兼事務所や小さなプレハブの店舗があり、クルマの下取りも可能という。だが、信用の問題でオートオークションの会員資格を得られなかったり、さらに中古車情報サイトへの在庫掲載が難しいほか、ローンの取り扱いができなかったりするため、誰でも参加できる大手のインターネットオークションで販売しているのだ。
空冷ポルシェの価格急騰にはブローカーも関与か!?
ちなみに、取扱車にずっと乗っていたユーザーを装ったり、クルマの素人であるように偽装して出品しているブローカーもいるようなので、本物の個人ユーザーとの判別がなかなか難しいのであった。 そして、信用がないことから、旧車ブローカーのなかには既述したように海外に流すことを前提としてクルマ集めをする人もいる。以前、筆者が取材したクルマ屋では空冷ポルシェの海外流出を防ぐために“ブローカーお断り”というスローガンを明確に掲げていた。
個人的な印象ではあるが、海外からの引き合いが多くなった空冷ポルシェの売価が高騰したことをきっかけとして、旧車全般の価格が一気に上がったが、そのタイミングで空冷ポルシェを精力的に海外に送っていた存在のひとつが旧車ブローカーだったということだろう。 海外のユーザーが高値で引き取ってくれれば、日本における流通価格が高くなってしまうのは自然な流れで、海外流出などの影響でタマ数が減ってきたことにより、さらに価格が高騰している、というのが現在の状況であると分析できるのであった。
筆者が自身の1974年式アルファロメオGT1600ジュニアを乾燥させるためにガレージ内から外に出して仕事に行き、夕方とか夜に帰宅すると、ワイパーに旧車ブローカーと思しき海外の人の名が書かれたアヤシイ名刺が挟まれていることがあったりする。