オーバートルクは厳禁! 規定トルクでナットを締めること
パッドを取り付ける時はキャリパーと接触する部分、ピストンが押す部分に薄くグリスを塗る人もいるが、塗らない人もいる。塗る理由は異音の防止だが、塗りすぎるとグリスにホコリやダストが絡んでヘドロのようになってしまうので塗らない人は多い。異音の発生に関してはサーキットオンリーなら塗らないのもあり。ちなみに塗るときは高温に強いブレーキ用グリスにすること!
キャリパーを戻したらあとはナットを締めるだけ。ただし規定トルクで締めること。「緩んではいけないのでギューギュー締めた」という人もたまにいるがこれは絶対にNG。オーバートルクで走行中にボルトが折れたら、ブレーキは正しく利かなくなり大惨事になりかねない。しっかりと整備書に記載されたトルクで締めることが必要不可欠だ。
タンクからブレーキフルードが漏れないように注意したい
さらに気を付けたいのはパッドを交換をしたら1カ所ごとに(前後すべて交換なら4カ所)、運転席からブレーキペダルを何度も踏み込むこと。これは押し戻したピストンを出すためで、これをやらずにどんどん次のキャリパーのピストンを戻していくと、エンジンルームのタンクからブレーキフルードが漏れて、エンジンルームがフルードまみれになってしまう。このフルードは塗装を痛める性質があるので、もしこぼしたら十分に水で流す必要があるため、できるだけ溢さないようにしたい。
また、パッド交換時はあらかじめフルードタンクからフルードを抜こうとする人もいるが、これは大間違い。4輪のパッドを新品にしたときにフルードタンクのフルのラインに合わせてフルードが入っているのが正解なので、パッドが減ればその分フルードタンクの水位は下がる。しかし、次に新品パッドを入れればふたたびフルのラインに戻らなければならないのだ。
【まとめ】正しい整備のスキルと知識があって初めてDIYできる
プロの自動車整備士にとってブレーキパッド交換は簡単な作業の部類に入る。ただし、正しい知識と確かなスキル、そして作業に必要な工具を持ち合わせていた場合であり、素人が簡単に手を出すと痛い目に遭うことがある。当記事ではブレーキパッド交換の作業方法を紹介したが、DIY作業を推奨するものではなく、もし、DIYでパッド交換に挑戦してみたいのであれば、有資格者の友人などに教えてもらいながら、正しい工具を使用して行うようにしたい。決してDIYがNGというワケでじゃなく作業するのであれば、ブレーキパッドの交換と言えども、クドいようだが正しい知識と整備のスキルを備えてえからチャレンジしてほしい。