ホームセンター各社がアウトドアPBに進出
キャンプブームの波に乗り、アウトドアメーカーとは異なる他業種が市場へと参入したことで熾烈な戦いが繰り広げられています。身近な所では「ダイソー」や「セリア」などの100円ショップや作業服の販売で絶大なシェアを誇る「ワークマン」などが大きな話題になっています。ですが、忘れてはならないのが「ホームセンター」の存在です。
DIY用品を取り扱うホームセンターは地域に密着した頼れる存在であり、おもに日用品、大工用品、ペット用品、レジャー用品などを取り扱っていましたが、最近はキャンプギアを始めとしたアウトドア用品の販売スペースを拡大しています。ホームセンターのなかには「PB」と呼ばれるプライベートブランドを展開し、高機能かつリーズナブルな価格設定はキャンプマニアたちからも一目置かれるようになりました。
キャンプブームという追い風を受け、勢いのある他業種の市場参入により「キャンプ道具=アウドア専門店」と言う構図は成立しなくなったと言っても過言ではありません。そこで、今回は「ホームセンター」に注目し、その謎と魅力に迫ってみようと思います。
ホームセンターは熾烈な戦国時代に突入
ホームセンターは地域に密着した日用品を販売し、その地域に住まう人たちの暮らしを支えていることもあり馴染のあるホームセンターが全国展開をしていると思っている人も多いはず。しかし、ホームセンターは地域によって出店エリアに偏りがあり、馴染みの深いホームセンターでもじつはその地域だけの存在……という場合も少なくありません。
そんなホームセンターですが、最近は合併吸収などを繰り返しながらつねに勢力図が塗り替えられているのは知られざる事実。急速に規模を拡大しているのが「DCM」と呼ばれるホームセンターの連合軍で、「カーマ」、「ダイキ」、「ホーマック」、「サンワ」、「くろがねや」、「ケーヨーデイツー」などを持つ巨大グループとして台頭し、日本全国に1400店舗を越える出店を実現しています。
DCMグループのほかにも「カインズ」、「ナフコ」、「コメリ」、「ロイヤルホームセンター」、「ビバホーム」、「コーナン」などが各地域を支え、ホームセンターは生き残りを賭けた戦いとしてアウトドア市場に力を注ぎ始めているのです。
魅力的なホームセンターのアウトドア用品
ホームセンターが展開するアウトドア用品は急速な高機能化が進み、アウトドア専門ブランドにも負けない存在感を持ち始めています。以前までは有名ブランドの商品や最低限の機能を持った行楽用品を取り扱っていましたが、最近では「PB」と呼ばれるオリジナルブランドの商品を次々とリリースし始めています。
ホームセンターが取り扱うPB商品は有名アウトドアブランドの製品と比べても劣ることのない機能性を持ちながら、市場価格で半額から1/3程度の価格で販売されているのですから、キャンプ好きが見逃すはずはありません。その魅力は機能性だけでなくデザイン性もトレンドを取り入れたものとなり、海外の有名ブランドと引けを取らないまでに進化を遂げています。
ソロテントは高い耐水性と付属部品をセットにしてアンダー1万円から手にすることができ、ハードクーラーボックスなどは人気ブランドと同様の保冷性能とデザイン性を持ちながらも、半額以下で用意されているのです。アウトドア専門店で家賃の何倍もするテントや、自宅で使っている電子レンジよりも高価な焚火台を見て「手が出ない」と諦めていた人にとって、ホームセンターのPB商品が救世主になることは間違いありません。
最近は焚火ブームに乗るように、各ホームセンターから独自のデザインと機能性を持つファイヤーピット(焚火台)がリリースされています。新製品のなかには憧れだった二次燃焼式を採用した商品もあり、驚くことに6000円台で手に入れることができるのですからこれを狙わない手はありません。異業種とはいえDIY用品や工具、建材などにも精通したホームセンターでは使い勝手もしっかりと考慮され、取り扱う薪のサイズがピッタリと収まるサイズ感や付属品もセットされているのも大きな魅力になっています。
ホムセンPBが機能性と低価格を両立できる理由
ネット通販で格安で販売されている「安かろう、悪かろう」的な粗悪な商品とは異なり、バックボーンがしっかりとした法人企業なので安心感も絶大です。では「なんでホームセンターのPB商品は機能性と低価格を両立できるのか?」という疑問ですが、それは自社がホームセンターという売り場を持っていること。
前出のDCMグループを例に取ると、全国に存在する1400を越える自社店舗で販売することができ、流通マージンやアウトドア専門店に販売を委託するロイヤリティも必要ありません。単純に考えれば1400の店舗で商品を10個売るとすれば1万4000個の計算となり、各店舗で50個売れれば7万個の大セールス商品になります。それだけに生産ロット数も見込め、大量に作ることでコストを抑えることができるという好循環が価格を抑える秘訣になっているのです。
近くに店舗が無くてもネットショップを利用できる
唯一の欠点は欲しい商品があってもアウトドアショップやスポーツ専門店に置かれることがないため、ホームセンターに行かなければ買えないということ。しかし、そんな欠点を補うために各ホームセンターではネットショップを開設し始め、取り扱っているホームセンターが近くにない場合にはインターネット通販を利用するのも賢い方法と言えそうです。
自社開発、自社生産、自社流通、自社販売。中間マージンや有名ブランドのロイヤリティなどの無駄なコストを削り、日本人の高いニーズに応えてくれるホームセンターのアウトドア用品。人気ブランドにも負けない「機能性」と「デザイン性」を兼ね備えた魅力的な商品は庶民派キャンパーの強い味方であり、ホームセンターのアウトドア用品から目が離せません。今度の休日は魅力的なPB商品を探しに、ホームセンター巡りの旅に出かけてみませんか?