3年ぶりに開催されたカスタムの祭典「ストリートカーナショナルズ」
横浜・本牧を拠点にアメリカのカスタムカルチャーを発信する「ムーンアイズ(MOONEYES)」が、1987年から開催している「ストリートカーナショナルズ」(略してSCN)。アメ車のみならず欧州車、国産車も数多くエントリーする、国内最大級のカスタムカーショーだ。2020年と2021年はコロナ禍でキャンセルとなっていたが、2022年5月15日(日)、3年ぶりにお台場で開催された。
カーショーのエントリー台数1200台、スワップミート130件、来場者数は1万1千人を数えた今年のSCNの会場の様子をお届けしよう。
アメ車に国産車に欧州車と何でもアリ、合い言葉は「カスタム」
ムーンアイズというとアメ車のイメージが強く、SCNの会場でもアメ車は一大勢力であるが、じつは国産車のエントリーも多く、あるいはドイツのフォルクスワーゲンも多かったりする。もともとムーンアイズが南カリフォルニア発祥であり、日本においてもアメリカのカスタムカルチャーを長年にわたり発信してきた。その功績もあって、日本のカスタム文化は多かれ少なかれアメリカの影響を受けている。クルマの国籍やジャンルを問わずアメリカン・カスタムカルチャーを愛好する人々が、ここSCNに集結しているのだ。
90年代車にハマる20代の若者たち
今年のSCN会場を歩いていて痛感したのが、筆者を含め40代以上の世代ではクラシックカーといえば1970年代まで、といった感覚が強く、80年代以降は「ヤングタイマー」とか「ネオクラシック」などと呼んでいたりするが、現在20代の若者にとってみれば、90年代はすでに生まれる前か、物心つく前。リアルタイムで新車を見ていない90年代のクルマにひかれて、調べて乗ってイジって遊ぶ20代が確実に増えてきている。
たとえば白い1998年式いすゞ・ジェミニ(5代目)に乗ってきた埼玉県のシデさんは26歳。4年にわたり所有しながら、オートマからマニュアルに載せ替え、ヘッドライトとテールランプはアキュラ1.6ELの物を付けてカナダ仕様ルックに。ホイールはスプリントハートのCPR。素通りしかけてつい足を止めてしまう、見覚えありそうで見たことの無いマニアックなスタイルだ。
神奈川県のショウタさんは26歳で、乗って3年の愛車はUS仕様の1991年式VWジェッタ。「Wolfsburg Edition」という北米での限定バージョンだ。ホイールはエリート・フローレンスターを履いてフロントには大きなノーズブラを装着し、USDM(アメリカ国内市場)らしいルックスを実現している。
奇しくも同じ1991年式ジェッタで新潟からやってきた銀山智也さんは20歳。ホイールはノーテレだ。以前はE46型BMW 3シリーズに乗っていたところ、地元の知り合いからこちらのジェッタを引き継いだそうだ。じつは新潟は空冷、水冷を問わず、VWのカスタムカルチャーが深く根付いている土地。さまざまなオーナーの手を渡りながらクルマが少しずつ進化していくのが面白い。