苦労の積み重ねの先に喜び見つけるのがキャンプの本質
現在、キャンプを楽しんでいる人たちも、誰もが初心者だったころがあり、少なからず上記した不満や不安を感じていたはずだ。しかし、キャンプという経験を積みながら自然の美しさやキャンプの楽しさに目覚め、自分のスタイルを確立することでキャンプに傾倒していったのである。一度でもキャンプに参加したことがあれば、そのなかからポジティブな楽しさを見つけてキャンプの魅力を見つけてもらいたい。
そうすることで「次はこうしよう!」、「今度は失敗しないぞ!」という気持ちが生まれ、自然のなかで過ごす喜びや充実感が大きくなっていくはずだ。キャンプに対するネガティブな印象を持つことは決して悪いことではなく、ネガティブな事例はマナーやルールを守らないことで生まれる不快感の表れでもあり、その気持ちを忘れなければ「マナーを守れるキャンパー」へと成長することができるのだ。自分が嫌なことは人にもしない。お互いを気遣う気持ちがキャンプという一過性のブームを「文化」へと昇華させる礎になる。
混雑するキャンプ場でストレスフリーはそもそも難しい
このコラムを読み、昔からキャンプを楽しんでいる人たちのなかには「キャンプが嫌いなら来るなよ!」や「キャンプ場が空いてくれてラッキー!」と思う人も多いはずだ。どう考えても、昨今のキャンプ場は混雑し過ぎて正気の沙汰とは思えない状況であることは間違いない。キャンプ人口の増加はマナーの低下にも繋がり、どんな趣味にも言えることだがマナーを守れない人間はある一定数が存在し、キャンプ人口が増えることでマナー違反が目に付くようになる。
もちろんブームに乗ってキャンプを始めた人の多くはマナーを守り、自然の大切さを理解した優良キャンパーだが、ここで苦言を呈したいのはマナーを守れない人たちであり、新たな趣味としキャンプを始めたすべての人たちではないことを理解してほしい。また、すべてのキャンプ初心者を「新参者」と見下す経験者も、歓迎すべきではないキャンパーであり尊敬には値しない。どんなベテランでも最初は初心者を経て今に至っているのは言わずもがな。本気でキャンプを楽しみたいビギナーであれば、優しい目で見守り、ときにはアドバイスをするくらいの懐の深さを見せてほしい。
キャンプブームは弊害ばかりではなく
多くの恩恵をもたれしてくれる
静かにキャンプを楽しみたい、バカ騒ぎしているキャンパーに腹が立つと思うのは至極まっとう感覚だ。だが、第二次キャンプブームが生み出した「大混雑」という狂気の沙汰により、全国各地にキャンプ場が増え、アウトドアブランド以外のメーカーが参入したことでリーズナブルかつ高機能なキャンプ道具が手に入れられるようになった恩恵も忘れてはならない。
本音を言えば「面倒臭いならキャンプをやるな!」ではあるものの、このブームによってキャンプの楽しさに目覚め、マナーを守って自然と共存できるキャンパーが増えてほしいと願う自分もいる。「キャンプは面倒くさいからやらない方がいい」との過激なタイトルで書き始めたコラムだが、ここでマナーを啓蒙しても守れない輩には釈迦に説法、馬の耳に念仏なのかもしれない。だが、マナーを守れる正しきキャンパーへの戒めとして、少しでも役立てば嬉しい限りである。