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スペックだけ見ると正直大したことない! それでもなぜ「ハチロク」は伝説となったのか?

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TEXT: 加茂 新(KAMO Arata)  PHOTO: 加茂 新/トヨタ自動車/Auto Messe Web編集部

カスタマイズメニューも進化しまくっている

 そんなAE86のカスタマイズパーツも進化し続けている。現代ではしなやかなサスペンションに、なめらかなLSDは当然。12~3年ほど前に「トラスト」が新たにサスペンションキットを発売したときは売れに売れまくって、バックオーダーが殺到した。

 エンジンは純正ECUのROM書き換えか、「フリーダム」というフルコンが多かったが、最近は「LINK」での制御が一般的になった。演算速度は格段に速く、価格もすべて込みで30万円ほどとそう高くはない。インジェクションのシーケンシャル噴射なども可能になり、当時よりは格段にレスポンスも燃費も良くなっている。

 根強い人気からかなりの純正パーツが今でも手に入るし、トヨタによる復刻パーツの供給も始まっている。

現在もファンが多くカスタマイズメニューも純正パーツも豊富

クルマとの濃密な対話を強制される、だがそれがいい

 車格が小さく扱いやすいのもAE86の美点だ。最上級グレード「GT-APEX」にのみパワステがオプション選択可能だったので、かなりの数のクルマがノンパワステだった。そうなると、フロントタイヤの様子をステアリングの重さで感じながら曲がっていき、アクセルを踏み込んだらあとはリヤタイヤに絶妙なスリップアングルが付くように、アクセルで車体をコントロールしていく。そのとき、ステアリングは荷重の移り変わりに応じて、軽くなったり重くなったりしていく。まさに運転している感にあふれている。というか、それだけ対話しながら運転しないと、まともに走れないのである。

「AE86はドライバーを育てる」とよく言われたが、正確には、そうでもしないとちゃんと走れないのがAE86なのである。だからこそ、腕磨きにもなるし、なによりもクルマとの一体感は唯一無二のものでもある。その一体感こそ、AE86が根強い人気を持つ理由なのだ。

クルマとの一体感は唯一無二

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  • 筆者が所有するスプリンタートレノ
  • 現在もファンが多くカスタマイズメニューも純正パーツも豊富
  • クルマとの一体感は唯一無二
  • 結果的に優れたコーナリングマシンとなった
  • 当時のカタログ
  • 1.6Lの直4 DOHC NAエンジン
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  • 加茂 新(KAMO Arata)
  • 加茂 新(KAMO Arata)
  • チューニングライター。1983年生まれ。父が初代VWゴルフ、シトロエンBX、ZXなどを乗り継いでいた影響で16歳で中型バイク(ZRX400)を購入し、大阪芸大時代にAE86を購入。卒業後はチューニング&ドラテク専門誌を15年間製作し(約2年の編集長を含む)、数多くのレースにも参戦。2021年春よりフリーランスとなる。過去には180SX、S15、NA8、SCP10、86前期&後期を所有。現愛車はAE86、GR86、ZC33Sスイフトスポーツ、CBR954RR。
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