元祖ホットハッチの「GTI」も鮮烈だった
ご存知のとおり初代ゴルフは、その後、FF・2ボックスハッチバックの範として、世界中にフォロワーを生み出した。アウトバーンの走りが日常のドイツ車にとって、キチンとしたダイナミック性能が与えられることは実用車であっても常識で、結果としてそのレベルの高さがスポーティだと受け止められ、その後の世界中の実用車クラスの基準車となり、ハンドリング性能がレベルアップしていくキッカケにもなった。
初代ゴルフでは、ポルシェもカモると評判になった高性能車のGTIも忘れられない。日本市場へのGTIの正規導入はゴルフ2からで、筆者は並行輸入車の中古車を第三京浜で試乗した程度だったが、環八から入って多摩川を渡るころには瞬く間に大きな声では言えない速度に達していた初代GTIの活きのいい走りに感銘を覚えたもの。「GTIクラス」と呼ばれ、いわゆるホットハッチの元祖的なクルマでもあった。
実用車でオープンカーを楽しむ贅沢さも
また初代ゴルフではカブリオ(「レ=let」を発音させるようになったのはゴルフ3をベースに4の顔が与えられた3代目のカブリオレから)の登場も見逃せない。カブリオ(レ)、オープンモデルというと、それまでの多くはスポーツカーや高級車だったが、そんな「様式」をゴルフのようなポピュラーカーのクラスで実現した点が魅力だった。そのため趣味性、ファッション性が高く、ある意味で贅沢なクルマでもあった。
なおこのカブリオに関しては、カルマンギア、シロッコなどと同様にコーチビルダーのカルマン社が手がけ、幌は外側からルーフ表皮、ネスリン地、ゴム樹脂層、ネスリン地、シーリングの5層構造という入念な造りだった。
いずれにしろクルマとしての味わい、魅力がすぐさま認知され、「もっとも身近な輸入車」といえばゴルフ、そんな存在になったのが初代だった。