アウトドア志向とSUVブームを牽引したアウトバック系
レガシィというと、GTと並び思い浮かぶのがアウトバック系だ。……「系」と表現したのは、世代により車名の変遷があったから。日本仕様では歴代で、「グランドワゴン」→「ランカスター」→「アウトバック」と変遷を辿ってきた。総じて、GT系がまさしくスポーティで刺激的な走りが体感できたのとは対照的に、ゆったりと心地のいい走りが味のシリーズ。その後のSUV系の範となったモデルだ。
初出は1995年、2世代目のレガシィ時代で、最初はグランドワゴンを名乗った。ちなみに前年の1994年に北米市場に登場しており、そちらではランカスターを名乗っていた。カタログもアウトドアのムードを重視した本体のレガシィとは違う仕立てのもので、ラゲッジスペースに犬が伏せで乗っている写真などが。特徴は200mmのロードクリアランス(この数値は後のモデルでも踏襲)でラフロードまでカバーしたポテンシャルが与えられた点で、2.5Lの余裕のあるエンジン性能とともに、ゆとりの走りを愉しむためのクルマとなっていた。
2代目は1998年に登場し、初代後半からの車名を受け継ぎ、ランカスター名義に。カタログを見ると「SUV新世界基準」とSUVの語彙が登場している。エンジンは初代同様に2.5Lを搭載。AT車の4WDシステムはアクティブトルクスプリット方式のフルタイム4WDだった。マッキントッシュのカーオーディオもメーカーオプションで用意された。
3代目は2003年10月に登場し、ここから車名がアウトバックに。ベースだった4代目レガシィツーリングワゴン同様に洗練されたスタイルが特徴で、フェンダーアーチモール、サイドスカートなどもボディ同色化(1色、弱いコントラストの2トーンの設定があった)。搭載エンジンには2.5Lのほかに6気筒の3Lも用意された。
4代目(2009年登場)と5代目(2014年登場)では車名がレガシィアウトバックとなり、ボディサイズも全幅で1820mm(4代目)、1840mm(5代目)と拡大。4代目は2.5Lと6気筒の3.6Lを搭載し、ダイヤルで走行モードを切り替える「SI-DRIVE」を設定している。
5代目は2.5Lが設定され、アイサイトver.3、アクティブトルクベクタリングなどが投入された。日本市場ではツーリングワゴン、セダンがドロップしたあともレガシィ・ファミリーで唯一残された、貴重な存在といえるモデルだ。