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「街で知り合った直後に美女と愛車交換」「納車にワインを用意」! いまじゃ考えられないバブル時代のカーライフ

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TEXT: 青山尚暉(AOYAMA Naoki)  PHOTO: 青山尚暉/Auto Messe Web編集部

ビトゥルボの所有がきっかけでクルマと恋愛をテーマにした著書を出版

 どうしてマセラティがボクの運命を変えたかと言えば、そうしたクルマを所有し、あちこちの自動車専門誌に記事を書いていたのを知った某出版社が、おそらく日本で初めての外車のバイヤーズガイドに特化した単行本を出さないか……ということになったのだ。それが、1988年6月に出版された初の著書「ぼくたちの外車獲得宣言」。クルマを”恋愛対象に見立てる”のがテーマだった。ぼくたちの外車獲得宣言の表紙

 当時、まだ日本での輸入車、いやガイシャの販売台数は6万8357台(1986年)でしかなかったところ、翌年にはいきなり9万7750台まで躍進。空前のガイシャブームが到来した直前のタイミングだったのである。かの徳大寺有恒さんから連絡があり、初めてお会いすることができたのも、その単行本がきっかけだったと言っていい。『キミ、外車ばかり乗っていないで、国産車もしっかり勉強しなさい』と、ホテルのレストランでアドバイスいただいたのも、ガイシャばかりの仕事をしていた当時のボクにとって、目を覚まさせてくくれたというか、とても有難いお言葉だった。

著書の印税を頭金にメルセデス・ベンツ300Eを購入

 ’80年代後半はその勢いでもうイケイケの人生だった。自動車雑誌の仕事の現場でも、バブルに乗ってか予算があり、クルマの撮影にモデルさんやスタイリストさんを使うことも多かった。そこで知り合ったひとりの女性スタイリストさんとも意気投合。よく遊びに行く仲になり、ある日、「青山さんのマセラティを譲ってほしい」ということになった。

 ちょうどメルセデス・ベンツEクラスが欲しいと思っていたころで、すんなり契約成立。もちろん素敵な女性だからといって、おじさんはあげたりしません。ちゃんとお金はいただきました……。そしてヤナセでメルセデス・ベンツ300Eを購入。当時、年に何冊か単行本を書いていてその印税を頭金にして。W124型メルセデス・ベンツ300E

 じつはあれほど憧れていたマセラティを売却した理由はいくつかあって、ひとつ目は冬、エンジン始動時にツインキャブレターの機嫌を損ね、一発でエンジンがかからないと、その日は稼働できず。冬はほかにクルマもあったので、ガレージに預けっぱなしという有様だったのだ。

 また、当時はファッション誌の仕事もあり、モデルさんを隣に乗せる機会も多かったのだけど、バブル期の女子にマセラティは通用せず。ほとんどの子は、ガイシャと言えばベンツかBMW、ポルシェだったのである。インテリアは妖しいイタリア貴族的な豪華さがあり、エンジンの回転をあげればまさに壮大なオーケストラが一斉に楽器を鳴らすような快音を響かせるのだが、こちら全身アルマーニでも、スリーポインテッドスター(メルセデス・ベンツ)やプロペラマーク(BMW)のブランドには到底敵わなかった……。

ガイシャ以外にもロードスターや愛犬用にオデッセイも所有した

 もちろん日本車にも乗った。例えば1989年に登場したユーノス・ロードスター(現在のマツダ・ロードスター)にも熱狂していた。そのころは驚愕の静粛性で世界の自動車メーカーを震撼させたトヨタ・セルシオ、そしてホンダのスーパーカーNSXが発売され、日本車にも歴史に残る素晴らしいクルマ、名車が続々と登場した時代でもあったのだ。それをリアルタイムで経験、試乗できたのもモータージャーナリストならではで幸運と言うしかない。ユーノス・ロードスター

 そんな、バブルの波に乗ったガイシャ生活は、1994年にいったん終焉。理由はバブルが崩壊したからではない。その年、念願のゴールデンレトリーバーを飼うことになり、大型犬の乗車ために2代目オデッセイ・アブソルートV6を購入。久しぶりの国産車であったが、乗り心地や操縦性は文句ナシ。「メルセデスから乗り換えても不満のない上質な乗り心地と、ミニバンらしからぬスポーティな走りに大満足」と、あちこちに試乗レポートを書いたぐらいである。2代目オデッセイ・アブソルートV6

 ’80年代中ごろから’90年代初頭にかけて本当に楽しく快楽的な日々を(素敵なクルマと女性たちと!?)過ごすことができた。あんな時代は、もう二度とやってこないだろう。しかし、その時代を若くして経験できたことは、いまでも鮮明に記憶に残る、いい思い出である。

12
  • E30型BMW325i
  • 2代目オデッセイ・アブソルートV6
  • マセラティ・ビトゥルボとオーナー
  • ぼくたちの外車獲得宣言の表紙
  • W124型メルセデス・ベンツE300
  • マセラッティ・
  • ユーノス・ロードスター
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