使用後にお手入れするところまでを楽しむことが大事
今回は「キャンプを始めたばかり」というビギナーさん向けの特別講座として、キャンプ道具のメンテナンスと必要性について語ってみたいと思います。キャンプあるあるとして「キャンプ道具を使おうと思ったら壊れていた」や「調子が悪くて苦労した」は多くの人が経験しているはず。
キャンプ道具は日用品よりも厳しい環境で使用するため、ダメージを受けやすいのは言わずもがな。野外では雨、風、ホコリ、熱、紫外線に晒され、自宅からキャンプ場へと移動するため、つねに振動や衝撃を受け続けています。また、野外で酷使されたあと、湿気や汚れが付着したまま物置やガレージの奥に収納してしまえば堅牢に作られたキャンプ道具でもダメージが蓄積してしまうのは当たり前のこと。
キャンプ道具は過酷な条件下で使用する「ヘビィデューティな道具」と思われがちですが、最近は「軽量化」や「コンパクト性」が優先される傾向があり、ひと昔前の道具よりも耐久性が劣っていることも多いようです。そんなキャンプ道具だからこそ、使用後のメンテナンスは必須。使用後にお手入れをせず、湿度の高い倉庫に積み重ねておくのは愚の骨頂です。メンテナンスという愛情を注がなければ道具の寿命が短くなり、使用時に性能が発揮できなくなる可能性が高くなってしまうので注意して下さい。
では、キャンプ道具はどれくらいの頻度でメンテナンスが必要なのかという問題ですが、最低でも使用前の動作確認、使用後のお手入れはマスト。道具によっても手入れをする頻度は違ってきますが、キャンプ場で慌てないためにも使用する前に点検することをおすすめします。キャンプを楽しんだあとにはしっかりと道具のお手入れを行い、この行為を「面倒」とか「苦行」と思わずに「お手入れをしている時間=楽しい趣味」と捉える、ポジティブシンキングさを持ちましょう。
次項ではキャンプ道具を5つに大別し、キャンプビギナーにおすすめの基礎的なメンテナンスの方法をお教えいたします。
メンテナンス基礎講座:1時限目
「テント&タープのメンテナンス」
キャンプ道具のなかでもっとも厄介なアイテムがテントとタープ。面積が広い分だけお手入れをする場所が必要になりますが、使用後の手間を惜しむと取り返しのつかないトラブルの原因になります。
テントやタープは雨や結露などの湿気、焚火の灰や泥などの汚れが付着した状態で保管してしまうと、カビや異臭、素材の劣化を進めてしまいます。テントやタープはしっかりと汚れを落とし、風通しの良い場所で乾燥させてから収納袋に戻すのが鉄則。同様にグランドシートやロープなどもしっかりと乾燥させましょう。
ペグも汚れも落とし、使用する数を確認してから収納すること。ペグの置き忘れもキャンプあるあるのひとつなので、数を確認しておけば次回のキャンプで慌てることもなくなるはずです。
メンテナンス基礎講座:2時限目
「バーナーやコンロのメンテナンス」
楽しいキャンプ料理を支えてくれるバーナーやコンロですが、調理の際に付着した汚れや油分を除去すること。ご家庭のコンロと同じように衛生的に保つことが見栄えだけでなく健康的にもおすすめです。バーナーのヘッド部分に汚れが付着していると不完全燃焼の原因になるので歯ブラシなどを使ってクリーニング。五徳やカバーが外せるのであれば家庭用の中性洗剤などで洗い、本体部分もお掃除しておきましょう。
バーナーのなかでもホワイトガソリンを使用するアイテムは燃料をしっかりと回収し、タンク内にガソリンが残らないように燃焼させてから収納すること。ミキサーチューブやプライミングカップまで分解し、メンテナンスを施す上級者もいますがビギナーにはおすすめしません。決して無理をせず、できる範囲でメンテナンスに挑戦して下さい。もし、燃料漏れや異常燃焼などの不調を見つけたら購入したショップや説明書に記載されるカスタマーセンターへと連絡し、ショップやメーカーでのメンテナンスをおすすめします。
メンテナンス基礎講座:3時限目
「ランタンや照明器具のメンテナンス」
意外と忘れがちなのがランタンや照明器具のメンテナンス。ホワイトガソリンやパラフィンオイルを燃料として使うランタンは、収納する前にタンク内部の燃料を回収、または使い切って必ず空の状態にしておきましょう。
そして、本体の汚れを落とすのはもちろんですが、コールマンなどのスチール製ランタンは艶出しと汚れ防止のため、クルマ用ワックスを掛けておくのもおすすめです。グローブ(ホヤ)は外側だけでなく内側も掃除しておきましょう。フローブの汚れは照度を落とす原因になるからです。また、マントルやオイルの芯の劣化を確認し、必要であれば事前に交換しておけばキャンプ場で慌てることもなくなります。
電池式のLEDランタンやヘッドランプはメンテナンスフリーと思われがちですが、収納する前には必ず電池を抜いてくことを心掛けましょう。電池を入れた状態で長期保管してしまうと電池から液漏れを起こす可能性があり、最悪の場合には電極が腐食してしまい使えなくなることもあるのです。充電式の場合には80%程度まで充電しておき、保存中に内蔵のバッテリーに負担をかけないことが秘訣です。