日本のキャンプ場はほぼ整地されていてSUVじゃなくてもOK
かねてから、このオートメッセウェブでアウトドアやキャンプに行くのに、必ずしも走破性に優れたSUVに乗っていく必要はない、と説いてきた。理由は、日本のアウトドア・キャンプフィールドは、アクセス路や構内ともに舗装、整地されていることがほとんどで、それこそ一般的なFF乗用車でも難なくたどり着けるからである。ある意味、アウトドアテイスト満点なSUVやクロスオーバーモデルで行くのは、本格感の演出、ファッション的な要素でもあるわけだ。
カーナビの指示通りに走るとそこは……
だが、そんな筆者につい先日、千葉の山奥で悲劇が襲ったのだ!! 乗って行ったのは愛車のステーションワゴン。ナビに目的地をセットして、真っすぐ行けば海沿いの国道に出られるところ、2台のナビ(データの古い車載ナビと、最新地図データのポータブルナビを併用している)は近道なのか、どちらもとある交差点を左折し、山道を進むよう指示。
それを真に受けたのが大間違い。とんでもない獣道、ところどころに深い穴が開き、倒木もあるジャリ道に突入してしまったのだ。クルマ1台通るのがギリギリの区間がほとんどで、深い穴を避けた極限の蛇行走行を強いられ、倒木は一度降りて排除……。二度とこの道は走りたくない!! と、運転歴40年以上、モータージャーナリストでもある運転慣れした筆者に、そう思わせたぐらいのとんでもない危なすぎる裏ルートだったのだ。
付け加えると、筆者のステーションワゴンは、ホイールハウスとタイヤの隙間が大きかったのを解消するためと、大型犬のシニア犬の乗降がしやすくなるようにローダウンを施していたのだから、さらに(汗)、である。
で、思った。目的地のアウトドア、キャンプフィールドそのものは整地されていても、道中、道に迷うこともあるだろうし、今回のように、ナビがとんでもない道を「近道ですよ」と案内することもあり得る。そこでどんな路面に遭遇するか分からず、そのときの筆者の思いは「最低地上高に余裕ある、見晴らしのいい視界でボディの身きりのいいSUVやクロスオーバーモデルで来ればよかった!!」である。
アクティビティの場所によってはSUVが重宝することも
そしてこれはずっと前の話だが、水辺にクルマが入れる、大きな石だらけのエリアにピクニックに出かけたときのこと。ピクニックポイントは水辺ギリギリが楽しいのはもちろんで、多くのピクニック(アウトドア)客のクルマは、最低地上高に余裕があり、ゴツゴツの石だらけの路面もガンガン進める本格SUVの4WD。
しかしこっちは、そんなシチュエーションなど知らず、フツーのハッチバック車で訪れてしまった。多くの“本気”ピクニック客は水辺近くまでグイグイとクルマを走らせ、ピクニックポイントに停めてその脇でピクニックを楽しんでいる。荷物の移動もないに等しい。
だが、こちらは大きな石だらけの場所に踏み入ることができず、重い大型クーラーやテーブル、チェアなどをかなりの距離運ぶことになったのだ。ピクニックを始めるころには何度も往復する重い荷物の移動でヘトヘト。周囲で楽しむ本格SUVやその準備万端なユーザーを、じつに羨ましく思ったものだった。
荒天直後の道はあれている可能性もある
そして、日本が災害大国であることを忘れてはいけない。つい先日の東北の大雨のあとの話だ。友人が大雨直後に天候が回復したため、すでに予約済のグランピング施設に向かった。
高速道路は順調。高速道路を下りてからの市街地も順調。だが、グランピング施設直前の未舗装の道に踏み入れた瞬間、世界は一変。ところどころに深い水たまりがあり、倒木もある。そして最悪なことに、道を塞ぐように運転を誤まったであろう事故車が横たわっていて、その先に進めない。クルマから降り、事故車の乗員に声をかけると、すでに警察や救援への連絡は済んでいるということなので、グランピング施設に連絡。ほかの裏道を教えてもらったのだが、「一般車ではちょっと危ない道です」と言われたとか。
だが、友人が乗っていたのは最低地上高に余裕ある本格SUV。せっかくここまで来たのだから、がんばって行ってみようということになり、これまた本格SUVでしか走れないようなとんでもない悪路を突き進み、無事、目的地のグランピング施設に辿り着けたという。施設の人いわく「よくここまで来れたものですね」。つまり、平時ならなんでもない整地されたアウトドアフィールド周りの道も、直前の天候や滞在中の天気の急変によって、往路や帰路のアクセスが想定外な状況になる可能性もあるということだ。
そんな場面に出会わないことが一番だが、SUVには、万一の際に頼りになる走破性の高さ=「保険」があると考えていいだろう。もちろん、君子危うきに近寄らず、無理をしないことが鉄則である。
※写真はすべてイメージです。