混雑するキャンプ場を避ける裏技「雨天キャンプ」のススメ
今年の春は週末になると天気が崩れ、雨や爆風でキャンプを諦めた人も多かったのではないでしょうか。マーフィーの法則ではありませんが、ここ数年は麗らかな春とはほど遠く、キャンプ日和の五月晴れ……に出逢った記憶がありません。そして悪天候の隙間を縫って訪れたキャンプ場には、キャンパーたちが押し寄せて大盛況。真夏の海水浴場のように足の踏み場も無いような芋洗い状態を見せていました。
週間天気予報で晴れマークが出ようものならキャンプ場の予約は一杯で、急にキャンプをしたいと思ってもままならず、当日予約のキャンプ場は受付時間の遥か前から長蛇の列……。キャンプ業界からすればウハウハ状態ですが、純粋にキャンプを楽しみたいという人にはストレスが溜まる「キャンプブーム」と言えるでしょう。
人気キャンプ場でも雨天ではキャンセル続出で閑古鳥が鳴いている
仕事柄キャンプ場での取材も多いのですが、ある週末、お約束の通り悪天候のなかで訪れた人気キャンプ場でのお話。数日前から降り続く雨は、冷たく春とは思えないような冷え込みを感じさせ、キャンプブームが終わったのか? と思わせるほど閑散としていました。多くのキャンパーは予約を取り消してキャンプを断念した様子で、周囲を見渡すとポツポツとテントが見える程度。皮肉にも「キャンプ場ってこんなに広かったんだ」と久々に思わせてくれました。キャンプにおける「天気」と「人出」は比例しているようで、悪天候の下でキャンプを楽しむ人は少数派に属するようです。
独り占めできる雨天キャンプの後は道具のメンテを忘れずに
そんなとき、雨のなかでテキパキと撮影を終えたキャンパーAさんに話を伺うと「雨のキャンプは楽しいですよ」と笑顔を見せてくれました。「晴れを狙っているから雨が辛くなる。雨を楽しむ気持ちを持てば悪天候のキャンプに辛さを感じることはありません。雨が降るとキャンプブームで予約が取れない人気のキャンプ場を飛び込みで訪れても、サイトが使い放題ですからね」とのこと。
ただし、唯一の難点は帰ってからのメンテナンスで「テントやタープ、キャンプ道具をしっかりと乾燥させてから収納し直すのが面倒ですけど、これを怠ると錆びや腐食、カビの原因になるので雨キャンプのあとは乾燥作業を頑張ってください」とのアドバイスを頂きました。
雨天キャンプを満喫するなら事前の準備を怠らないこと!
雨のキャンプを楽しむためにはそれなりの装備は必要であり、とくに重要なのが耐水圧に優れ設営に手間取らないハイスペックなテントを用意すること。早い話、ネット通販の安売りテントやタープ、有名ブランドでも晴れを想定した耐水圧が1000㎜以下のテントは役に立ちません。最低でも1500~2000mm以上の耐水圧を持つテントが必要不可欠であり、可能であればフライシートを持つダブルウォール式テントを選べば安心感はよりアップします。
また、多めのタオルや着替え、長靴、防水性の高いカッパ、洗い物用のゴム手袋、つばの広い帽子、撤収用の大きなビニール袋(ゴミ袋などの大きなビニール袋に詰め込んで撤収作業を短縮し、自宅に持ち帰ってから乾燥させるため)はもちろんのこと、テントの張り方を工夫する知恵を持つことが悪天候キャンプの基本です。
「カンガルー張り」や「小川張り」のように、テントとタープを合体させて雨からサイトを守る工夫は必須。必要なキャンプ道具は「台」や「脚」を使って地面に直接置かない工夫を施しましょう。場所選びは雨水が溜まりやすく歩き回ると地面が泥沼化してしまう土のサイトではなく、排水性の良い芝生のサイトを選ぶことが、雨のなかで快適に過ごすポイントになります。
【まとめ】不自由さを克服した先の新境地が「雨キャンプ」
本来キャンプとは自然を楽しむものであり、不自由さを克服するのも楽しみのひとつ。自然のなかでは晴ればかりではありません。多くのキャンパーが嫌がる「雨」というネガティブな要素を楽しむ気持ちと高いスキルで克服できれば、雨も楽しさに変わるはず。雨のキャンプではテントを叩く雨の音が楽しめ、キャンパーの喧騒に眉をひそめることもありません。
キャンプブームが吹き荒れる昨今、キャンプ場の予約に頭を悩ませることのない「雨キャンプ」は、キャンプ上級者にとって楽しみになる可能性を秘めていることは間違いありません。メディアで「雨キャンプ」というニッチな楽しみ方を紹介してしまうと雨を待ち侘びているAさんに怒られそうですが、この境地に達するキャンパーはそう多くはなさそうです。大混雑したキャンプ場に辟易しているのなら、一度「雨キャンプ」に挑戦してみてはいかがでしょうか。